更新日: 2025.08.28
リスティング広告は、検索エンジンの検索結果にユーザーが入力したキーワードに基づいて表示される広告です。
Google広告やYahoo!広告が代表的なプラットフォームであり、検索結果の上部や下部に「広告」と明示されて表示されます。ユーザーの検索意図に応じて配信されるため、顕在層に効率的にアプローチできるのが最大の強みです。
ここでは、仕組みと費用構造を整理して理解しておきましょう。
関連記事:リスティング広告のやり方と、実施時に成果を高めるためのポイントについて
目次
リスティング広告はオークション形式で表示順位が決まります。
広告主はキーワードごとに「上限クリック単価(入札額)」を設定し、GoogleやYahoo!はそれを基に広告を選定します。ただし、単純に入札額が高ければ上位表示されるわけではありません。広告の品質スコア(関連性、クリック率、ランディングページの利便性などを評価した指標)が組み合わさり、広告ランクが算出されます。つまり「入札額 × 品質スコア」によって表示順位と実際のクリック単価が決定するのです。
関連記事:リスティング広告などのクリック単価(CPC)とは?意味や費用相場、改善方法について解説
関連記事:広告ランクとは?仕組みや品質スコアとの違いについて徹底解説!
この仕組みによって、限られた予算でも広告やLPの改善によって競合に勝てる余地があり、単純な資金力勝負にならない点がリスティング広告の特徴です。
また、表示形式は検索連動型が中心ですが、ディスプレイネットワークやショッピング広告なども含めて活用されるケースがあります。
リスティング広告の基本は クリック課金制(CPC課金) です。広告が検索結果に表示されただけでは課金は発生せず、ユーザーが広告をクリックした瞬間に初めて費用が発生します。これにより、広告主は「興味を持ったユーザーがLPに訪問した数」に応じて費用を支払う仕組みとなっています。
クリック単価は業界やキーワードによって大きく異なり、数十円で済むケースから、競争の激しい金融や人材領域では数千円に達することもあります。費用の総額は 「クリック単価 × クリック数」 で算出されるため、目標とするコンバージョン数やCPAから逆算して必要な予算を決めるのが基本です。
加えて、広告費そのものだけでなく、運用にかかる人的リソースや代理店への運用代行費も含めて「リスティング広告の総コスト」と考えることが重要です。クリック単価だけを意識していても、実際の運用成果を正しく把握することはできません。
リスティング広告にかかる費用は「一律でいくら」という明確な基準が存在しません。業種やターゲットの属性、競合状況、地域によって大きく変動します。
キーワード毎の相場感については、Google広告の「キーワードプランナー」というツールを活用することをおすすめします。キーワードプランナーでは、狙いたいキーワードが月間でどれくらい検索されているかの「月間検索ボリューム」や「検索結果に掲載された広告の入札単価」が確認できます。また、狙いたいキーワードと関連性のあるキーワード候補も確認することが可能な場合があります。
例えばキーワード「リスティング広告」では月間で22,200回程度検索されており、広告を出稿する場合の入札単価は安くて460円、高くて1,715円程度と予測がでています。
そのため、まずは費用の目安を「クリック単価(CPC)」「業界ごとの傾向」「月額予算のレンジ」という3つの観点で理解しておくことが重要です。
リスティング広告はクリック課金制であるため、1クリックあたりの費用=クリック単価(CPC)が最も基本的な指標です。
一般的なCPCは数十円〜数百円が相場とされていますが、競合の激しい領域では1,000円を超えるケースもあります。例えば「不動産投資」「保険」「人材紹介」などの高額商材では数千円単位になることも珍しくありません。一方で、ニッチ市場や日常消費に近いサービスでは100円前後で収まることもあります。
クリック単価は業界によって顕著な差が生じます。例えば、金融・不動産・法律といった領域は顧客獲得単価(CPA)が高いため、広告主も高い入札を設定しやすく、結果として相場が上がります。
反対に、飲食や美容などのローカルビジネスは比較的低単価で出稿できるケースが多いです。つまり、同じ広告費でも業種によって得られるクリック数は大きく変わるため、自社が属する業界の相場を把握したうえで予算を設定することが不可欠です。
広告主が実際に投じる月額予算も幅広く、小規模事業者では10万〜30万円程度、中規模以上の企業では50万〜100万円程度がよく見られるレンジです。
全国規模で大規模な集客を目指す場合は、月数百万円〜数千万円の投資を行うこともあります。重要なのは「競合がいくら出しているか」ではなく、自社の目標CPAや必要なコンバージョン数から逆算して最適な金額を設定することです。
リスティング広告の費用は、単純に「いくら入札するか」だけで決まるわけではありません。検索エンジンが評価する複数の要素が絡み合い、広告の表示順位や実際のクリック単価が算出されます。ここでは代表的な3つの要素を整理しておきましょう。
まず最も直接的に影響するのが、広告主が設定する入札単価です。これは「1クリックに対して支払ってもよい最大金額」を意味し、競合が多いほど高額な入札が必要になります。特に金融や不動産などの高単価商材は、顧客獲得価値が大きいため競争が激しく、入札単価が跳ね上がる傾向にあります。ただし、入札単価を高く設定すれば必ずしも上位表示できるわけではなく、他の要素とのバランスが重要です。
GoogleやYahoo!は、広告ごとに「品質スコア」を付与します。これは広告文とキーワードの関連性、過去のクリック率、ランディングページの利便性といった複数の指標をもとに算出されるものです。品質スコアが高い広告は、同じ入札額でも上位に表示されやすく、実際のクリック単価も下がる傾向があります。つまり、入札額だけでなく広告クリエイティブやLP改善も費用最適化に直結するのです。
もうひとつ大きな要素がターゲティングの設定です。例えば「地域」「時間帯」「デバイス」「ユーザー属性」などを細かく指定できるため、適切に設定すれば無駄なクリックを減らすことが可能です。逆に設定が広すぎると、購入意欲の低いユーザーにまで広告が表示され、費用対効果が低下してしまいます。さらに、マッチタイプ(完全一致・フレーズ一致・部分一致)の選び方や除外キーワードの設定も、広告費の効率を大きく左右します。
リスティング広告を成功させるには「どれだけ予算を投下すべきか」を明確にすることが不可欠です。予算は単に「業界の平均額」や「競合の動向」に合わせるのではなく、自社の目標CPAや売上目標から逆算して設計するのが理想的です。ここでは、予算を決めるうえで押さえるべきポイントを整理します。
リスティング広告の予算は、まず「目標CPA(1件あたりの顧客獲得単価)」を設定することから始まります。例えば、新規顧客1件の獲得価値が2万円であれば、目標CPAを1万円以内に収めたいと考えるのが自然です。そのうえで「想定CV数 × 目標CPA」という式で必要な広告費を算出します。逆算型で設計することで「成果に見合った予算」になり、感覚的な判断を避けられます。
業種によって、クリック単価やコンバージョン率は大きく変わります。例えば、金融や不動産業界はCPCが1,000円を超えることも珍しくなく、CV獲得には数十万円規模の月額予算が必要になるケースがあります。
一方、ECや美容など比較的低単価でCVが得られる業種では、10〜30万円の予算でも一定の成果を出せます。自社の業界特性や販売単価を考慮しながら、複数のシナリオを立ててシミュレーションを行うことが重要です。
限られた予算で効率的に成果を出すには、配信の集中と最適化が欠かせません。
具体的には「高確度のキーワードに絞る」「エリアや時間帯を限定する」「広告文とLPを継続的に改善する」といった施策が有効です。少額でも成果を積み上げれば、徐々に予算拡大の根拠を得られます。特に小規模事業者の場合、初期は10〜20万円程度からスタートし、データを基に改善サイクルを回すのがおすすめです。
リスティング広告にかかるコストは「広告費」だけではありません。
効果的に運用するためには、キーワード調整、広告文作成、入札管理、レポート分析など多くの工数が必要であり、そのためのリソースや外部委託費も総コストに含まれます。ここでは、広告費と運用代行費の内訳、自社運用と代理店運用の違いを整理し、費用対効果を高めるための工夫を考えます。
項目 | 自社運用 | 代理店運用 |
---|---|---|
運用コスト | 人件費 | 手数料(広告費の15〜20%) |
ノウハウ | 社内に依存 | 専門知識が豊富 |
工数 | 多い | 少ない |
成果の安定性 | 担当者次第 | 一定の再現性あり |
リスティング広告の費用構造は大きく「広告費」と「運用費(代行手数料や社内人件費)」の2つに分けられます。
広告費はクリック課金によって直接発生するコストであり、運用費は広告を適切に配信・最適化するための人件費や外注費を指します。代理店に委託する場合、広告費の15〜20%程度を手数料として設定しているケースが一般的です。例えば月50万円の広告費を投下するなら、約7万〜10万円の手数料が別途必要となります。
自社運用のメリットは手数料が発生せずコストを抑えられる点ですが、社内に専門知識を持つ人材が必要です。
また、運用業務に工数を取られることで本来の事業活動にリソースを割けなくなるデメリットもあります。
一方で代理店運用は、経験豊富な運用者が最新の知見をもとに改善を行うため成果が出やすく、短期間での学習コストを削減できます。コスト面では割高に見える場合もありますが、効率的に成果を最大化できる点は大きな強みです。
どちらの運用形態を選ぶにしても、重要なのは費用対効果を高める工夫です。
具体的には「KPIの明確化」「定期的な成果レポート」「改善サイクル(PDCA)の徹底」が挙げられます。代理店に委託する場合は、レポートの透明性や運用体制を確認し、自社のKPIと合致しているかをチェックすることが不可欠です。
また、自社運用であってもツールを活用して自動入札や広告文テストを効率化すれば、限られたリソースでも成果を伸ばせます。
リスティング広告は、単に広告費を投じるだけでは成果につながりません。
限られた予算の中で最大限の成果を得るには、費用対効果を意識した最適化が不可欠です。ここでは、キーワード選定から広告文・LP改善、データ分析に基づくPDCAまで、実務的な最適化の手法を整理します。
リスティング広告の効率は、どのキーワードを対象とするかで大きく変わります。
コンバージョンに直結しやすい「サービス名 × 地域名」「業種 × 外注」といった確度の高いキーワードを優先的に設定することで、無駄なクリックを減らせます。また、マッチタイプ(完全一致・フレーズ一致・部分一致)の使い分けも重要です。
完全一致は精度が高い一方で配信量が少なくなりやすく、部分一致はリーチが広い反面ノイズも増えます。これらを組み合わせ、除外キーワードを適切に設定することで効率的な配信が可能になります。
関連記事:リスティング広告のマッチタイプ設定:効果的な運用のための戦略と実践
広告がクリックされても、ランディングページで成果につながらなければ意味がありません。
広告文はユーザーの検索意図に即した訴求を行い、LPでは「利回り」「価格」「サポート体制」など、ユーザーが意思決定する際のポイントを明確に提示する必要があります。
特に、見出しのコピー改善やフォームの入力項目削減、モバイル最適化といった小さな改善がCVR(コンバージョン率)の大幅な向上につながります。広告費を増やさず成果を伸ばすためには、広告文とLPをセットで最適化する視点が欠かせません。
関連記事:ランディングページ(LP)とは?CVRを劇的に向上させるLP設計と改善ポイント
リスティング広告は「運用型広告」であり、常に改善サイクルを回すことが前提です。
クリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)、CPA、ROASといった指標を定期的にモニタリングし、効果の高い要素を強化、成果の出ない部分を改善・停止していくことで、同じ予算でもより多くの成果を得られます。
特にGoogle広告やYahoo!広告の自動入札機能を活用する場合も、人が数値を分析し適切に補正を行うことで効果が最大化します。データに基づいた判断を徹底することが、費用最適化の最大のポイントです。
ある精密機器メーカーでは、リスティング広告を活用していたものの、月間のコンバージョン数が1〜2件程度にとどまり、成果に伸び悩んでいました。見込み顧客の獲得チャネルとしては重要であるにもかかわらず、広告費が成果に結びついていない状況が続いていたのです。
そこで当社は、Google広告とYahoo!広告の両方を活用した包括的な運用に切り替えました。まず、無駄な費用を抑えるためにキーワードを精査し、入札単価を最適化。加えて、広告文のABテストを繰り返し実施することで、クリック率の高い訴求パターンを導き出しました。さらに、サイト訪問者に再度アプローチできるリターゲティングや、興味関心の高いユーザーを狙うサーチターゲティングを活用し、接触するユーザーの質を向上。加えて、ランディングページの改善も継続的に行い、クリック後のコンバージョン率を高めました。
その結果、月間のコンバージョン数は4〜12件へと拡大し、従来の最大6倍にまで成果が改善しました。戦略的な広告運用とLP改善を組み合わせることで、安定的に成果を積み上げられることを実証した事例となっています。
参考:リスティング広告でコンバージョン数が最大6倍にー精密機器メーカーでの広告事例
リフォーム業界のクライアントでは、季節商材を取り扱っているため、繁忙期と閑散期で広告成果に大きな差が生じていました。特に需要が高まる時期にはクリック単価が高騰し、CPAが目標を大きく上回るなど、予算の有効活用に課題を抱えていました。さらに、これまでの効果測定はWebフォーム経由の問い合わせのみで、電話からのコンバージョンが可視化されていない点も大きな問題でした。
そこで当社は、まず季節性を考慮した柔軟な予算配分を実施。需要が高まる時期には広告費を集中的に投下し、閑散期にはコンバージョン効率を重視したキーワードへシフトする運用を行いました。同時に広告文やランディングページも季節訴求に合わせて更新し、クリック率とCV率の双方を高めました。また、電話コンバージョンの可視化に取り組み、架電計測ツールを導入。広告文やランディングページ上で「電話でのご相談も可能」と訴求したことで、Webフォームと電話の両方で成果を獲得できるようになりました。
こうした取り組みにより、全体のコンバージョン数は大きく改善。電話問い合わせも効果測定の対象に加わったことで、これまで見えていなかった成果を把握できるようになり、運用改善の精度も格段に向上しました。結果として、CPAを抑えながら効率的に成果を積み上げることに成功しています。
参考:季節商材の需要変動に対応──繁忙期に成果最大化を実現したリスティング広告運用事例
リスティング広告の費用は「固定的な相場」が存在するわけではなく、業種や競合状況、ターゲティング設定によって大きく変動します。そのため、単純に「いくらかかるのか」を考えるのではなく、クリック単価の相場を理解し、目標CPAから逆算して予算を設計することが重要です。
記事を通じて整理したように、費用を左右するのは入札単価や競合の多さだけでなく、広告の品質スコアやターゲティング精度といった運用面の工夫です。特に広告文やランディングページの改善は、同じ予算でも成果を大きく変える要素となります。さらに、運用体制においても自社で行うか代理店に委託するかでコスト構造が異なり、それぞれにメリット・デメリットがあります。重要なのは「単純な広告費」ではなく、総コストと成果を比較して判断することです。
また、限られた予算でも「高確度のキーワードに絞る」「配信エリアや時間帯を最適化する」「データを基にPDCAを回す」といった工夫で、費用対効果を最大化することは可能です。SNS広告やディスプレイ広告など他の媒体と組み合わせることで、潜在層から顕在層まで幅広くカバーできる点も見逃せません。
最終的に、リスティング広告の運用で成果を出すためには、「相場を知る」→「自社に合った予算を決める」→「継続的に改善する」という流れを確実に実践することが求められます。費用の仕組みを正しく理解し、無駄のない投資を行うことで、安定的かつ持続的な成果につながるでしょう。
現在デジタルマーケティングにおいてお悩みがある方や、
課題を感じているがどうしていいかわからない方向けに
無料でご相談会を実施しております。
まずは自社の現状を知り、可能な改善施策はどういったものがあるのか、
スケジュール、予算感はどのようなものなのか等も含めて
ご説明しますので、お気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
A.Google広告やYahoo!広告には「最低出稿金額」の制約は基本的にありません。極端に言えば1日数百円からでも配信は可能です。ただし、クリック単価が数百円かかる領域では、あまりに少額だと十分なデータが集まらず、改善や最適化が難しくなります。実務的には、最低でも月10万円前後を目安にすることで、PDCAを回すのに必要なクリック数を確保できるケースが多いです。
A.予算が限られていても、ターゲットやキーワードを絞り込めば一定の成果を出すことは可能です。例えば「地域名+サービス名」などの顕在層キーワードに集中する、配信時間を営業時間に限定するなど、無駄を減らす工夫が効果的です。小規模事業者では月5〜10万円程度からスタートし、成果を見ながら徐々に拡大していくケースが一般的です。重要なのは「広く配信するのではなく、確度の高いユーザーに絞って投資する」という戦略です。
A.SNS広告(Instagram、X、TikTokなど)はクリック単価が比較的安く、数十円〜数百円で配信できるケースが多いため、同じ予算で得られるクリック数はリスティング広告より多い傾向にあります。ただし、SNS広告は潜在層へのアプローチが中心で、今すぐ顧客になりうる層にリーチする力はリスティング広告に劣ります。逆にリスティング広告は「検索ニーズが顕在化した層」に配信されるため、クリック単価は高くてもコンバージョン率が高い点が特徴です。自社の商材や目的に応じて、両者を併用するのが効果的です。
セミナー
さらに学びたい方や、弊社のサービスについて知りたい方向けに通常セミナーや、時間を限定しないオンデマンドセミナーを用意しています。
開催セミナー一覧資料ダウンロード
デジタルマーケティングに関するお役立ち資料や、弊社サービス資料をダウンロードいただけます。
サービスの
お問い合わせ
センタードのサービスに関するご質問やお見積もり、ご発注など様々なお問い合わせはこちらからお気軽にお願いします。
お問い合わせフォーム