公開日: 2024.11.13
近年、Webサイトにおいて JavaScript/CSSアニメーションを活用したリッチな表現が増えています。
視覚的な印象を高めユーザーの興味を引き付けることで、サイトの付加価値を高める効果が期待できます。一方で、安易で過剰なアニメーションの使用は、ユーザビリティやパフォーマンスの面でマイナスに働くことも。
ここでは、初心者向けにアニメーション実装における現状の課題と適切な判断基準について解説します。
目次
いくつかの企業サイトを見ると、画面遷移時の複雑なアニメーションや、マウスオーバー時の過剰な演出など、”見た目のおもしろさ”を追求するあまり、過剰なアニメーションが散見されます。
こうした派手な動きは一時的に目を引きますが、ページ表示を遅くしたり、コンテンツ理解の妨げになったりと、ユーザー体験を損なうことが問題視されています。
JavaScript/CSSアニメーションの実装では、その動作にリソースを消費します。
複雑で大がかりなアニメーションを多用すると、ページの読み込み速度が低下し、ストレスを感じさせてしまいます。
また、クリック可能な要素をアニメーションで隠してしまったり、アニメーション中はユーザー操作を無効化したりすると、本来のコンテンツ閲覧の障壁になりかねません。
スマートフォンの普及により、Webサイトはマルチデバイス対応が必須です。
PCでは問題なく動作するアニメーションも、モバイルでは想定外の不具合を起こすことがあります。特に、ホバー動作を前提にした過剰なアニメーションは、タップ操作を著しく阻害します。
画面サイズが小さいモバイルでは、コンテンツを見やすく、操作しやすくすることが最優先です。
アニメーションの利用は、アクセシビリティの面でも慎重さが求められます。キーボードのみで操作する環境や、読み上げソフトを使う視覚障害者にとって、行き過ぎたアニメーションは大きな障壁となります。
多くの要素を動かす複雑なアニメーションは、JavaScriptやCSSへの負荷が大きくなり、読み込み速度を低下させます。初期表示の高速化は、直帰率やコンバージョン率に直結する重要指標です。
アニメーションの動きがコンテンツの視認性を低下させることがあります。
テキストの上を覆うように動くアニメーションや、重要な情報を隠してしまう演出は避けるべきです。あくまでコンテンツ理解が優先であり、アニメーションはそれを補助する脇役に徹するのが賢明です。
アニメーションの開始や終了のタイミングによっては、ユーザーの操作を妨げてしまうことがあります。
ページ遷移のアニメーションが完了するまでリンクを無効化したり、アコーディオンの開閉アニメーションの最中は他の操作を受け付けなかったりすると、ユーザーは「操作を阻まれている」と不快に感じます。
アニメーションはあくまでユーザーアクションに即座に反応し、スムーズな操作を提供できるよう設計すべきです。
マウスカーソルを重ねるとアニメーションで強調表示する、いわゆるホバーエフェクトも、やり過ぎには注意が必要です。
大幅な形状の変化や、ポップアップ表示のアニメーションは、かえって操作性を損なう可能性があります。
また、タッチデバイスではホバー機能がないため、ホバー前提のアニメーションは意味をなしません。ホバー時の動きはシンプルに留め、クリック可能な要素はわかりやすく示すのが得策と言えます。
JavaScript/CSSアニメーションを検討する際は、まずその目的とユーザーメリットを明確にしましょう。
漠然と「動きがあったほうが見栄えがいい」という安易な発想では、過剰なアニメーション実装に陥りがちです。狙いを「わかりやすいビジュアルフィードバックの提供」「ユーザーの誘導と効果的なコンテンツ訴求」など具体的にし、それが本当にユーザー視点のメリットにつながるかを見極めることが肝要です。
実装したアニメーションが、サイトパフォーマンスにどの程度影響するかを定量的に測定することをおすすめします。
Google PageSpeed InsightsやLighthouseを活用し、アニメーションの有無による表示速度やリソース消費量の差分を把握しましょう。CSSアニメーションとJavaScriptアニメーションを比較し、より軽量な手法を選ぶのも一案です。
アニメーションはモバイルデバイスでの動作検証を必ず行いましょう。
タップ操作による予期せぬ挙動や、スクロール時のカクつきなどに注意が必要です。レスポンシブデザインを踏まえ、デバイス幅に応じてアニメーションを軽量化または非表示にするなどの工夫も有効です。
パフォーマンス改善と操作性の確保を目的に、シンプルなアニメーション表現を心がけるのがベターです。
アニメーションの実装は、常に必要最小限に留めるという視点を持ちましょう。
動きを付けることが目的化せず、あくまでコンテンツ理解の促進やユーザー導線の最適化に寄与するかを基準に判断します。いくつか候補を用意し、A/Bテストで効果を比較検証するのも一案です。
節度を持ったアニメーション活用が、ユーザー体験の向上とコンバージョン率アップにつながるでしょう。
ここまで、WebサイトにおけるJavaScript/CSSアニメーション活用の課題と対策について解説してきました。
– 過剰なアニメーションはユーザビリティとパフォーマンスに悪影響
– 具体的な改善ポイントは「読み込み速度の改善」「視認性の確保」「スムーズな操作性の実現」など
– アニメーション実装は「目的の明確化」「定量的な影響測定」「モバイルファーストの検証」「必要最小限の定義」を意識する
アニメーションはあくまで、ユーザー目線の使いやすさと魅力的なコンテンツ訴求を両立するための手段です。その本質を理解し、適切な判断基準のもと効果的なアニメーション表現を実現していきましょう。
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監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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