公開日: 2025.08.05
検索順位で上位を取ればアクセスが増える──多くの人がそう考えています。しかし実際には、順位が高くてもクリックされなければ意味がありません。
上の図にあるように、検索結果で1位と2位ではクリック率(CTR)に約10%もの差があり、この「クリックされるかどうか」がSEOの成果に直結しています。
では、CTRを高めるにはどうすれば良いのでしょうか?
この記事では、検索順位とクリック率(CTR)の関係をデータとともに詳しく解説し、CTRを改善することで検索流入を最大化する具体的な方法をご紹介します。
Googleサーチコンソールを活用した分析方法から、タイトルやディスクリプションの最適化、構造化データの活用、さらにはCTR改善による順位上昇の事例までを網羅。
CTRという「見えにくい数値」を見える化することで、SEO戦略を一段階レベルアップさせることができます。
CTRを改善することは、SEO施策の中でも費用対効果が高く、すぐに取り組める強力な手段です。
本記事を通じて、順位とCTRの両輪で検索パフォーマンスを最大化しましょう。
目次
クリック率(CTR:Click Through Rate)とは、検索結果に表示された回数(インプレッション)のうち、実際にクリックされた割合を指します。数式で表すと「CTR=クリック数 ÷ 表示回数 × 100」となり、単位は%です。例えば、あるページが1,000回表示されて50回クリックされた場合、CTRは5%となります。
CTRはユーザーの関心を示す重要な指標であり、検索結果画面での魅力度を測るうえで欠かせません。どれだけ順位が高くても、CTRが低ければ実際のアクセスにはつながりません。SEOではこのCTRの向上こそが、最終的な成果に直結する鍵となるのです。
一般的に、検索順位が上がるほどCTRも高くなる傾向があります。1位に表示されたページのCTRは20%以上となることも多く、2位であっても10~15%、3位で5~10%前後といったデータが報告されています。一方で、10位以下になるとCTRは2%未満に落ち込むのが一般的です。
ただし、検索順位だけでCTRが決まるわけではありません。タイトルの魅力、メタディスクリプションの記述、ファビコンや構造化データの有無など、視認性や訴求力によってCTRは大きく左右されます。
また、検索キーワードの種類やユーザーの意図によってもCTRの傾向は変化します。情報収集型のクエリでは1位以外の選択肢も比較されやすく、購買意図の強いキーワードでは上位のCTRが圧倒的に高くなることもあります。
したがって、「順位を上げれば自然に流入が増える」と単純に考えるのではなく、「CTRを意識して順位を活かす」戦略が必要です。
検索順位とCTRの関係を明確に理解するためには、実際のデータを把握することが不可欠です。以下は、2025年時点での一般的な検索順位別CTRの目安です。
順位 | 想定CTR(全体平均) | 傾向 | 改善優先度の目安 |
---|---|---|---|
1位 | 27〜30% | 非常に高い | 高(維持+競合対策) |
2位 | 15〜18% | 高い | 高(1位を狙う) |
3位 | 10〜12% | 中高 | 中(CV次第) |
4位 | 7〜8% | 中 | 高(CTR改善が鍵) |
5位 | 5〜6% | 中 | 高(改善効果が出やすい) |
6〜10位 | 2〜4% | 低め | 中(順位上昇+CTR改善) |
11位以下 | 1%未満 | 非常に低い | 低(他施策優先) |
1位と2位のCTRには約10%前後の差があるため、たった1つ順位が変わるだけでもアクセス数に大きな違いが生まれることがわかります。さらに、1ページ目と2ページ目以降ではCTRが大きく落ち込み、検索2ページ目では1%未満となることも少なくありません。
これらのデータはあくまで平均値であり、検索キーワードの種類、検索ユーザーの行動特性、スニペットの有無などによって変動しますが、CTRは順位だけでなく、検索結果内での「目立ち方」が大きく影響することを念頭に置くべきです。
CTRはデバイス(PC/スマートフォン)や検索タイプ(ウェブ/画像/ニュース)によっても異なります。
検索順位 | CTR(PC) | CTR(スマホ) | コメント |
---|---|---|---|
1位 | 約27% | 約30% | スマホでは1位が特に強くクリックされやすい |
2位 | 約16% | 約17% | スマホでも健闘するが、1位との差は明確 |
3位 | 約11% | 約12% | デバイス差は小さいが、表示面積に影響を受ける |
4〜10位 | 3〜8% | 2〜6% | スクロールの多さがCTRに影響 |
11位以下 | 1%未満 | 1%未満 | ほぼ見られない、または検索結果に表示されにくい |
また、画像検索やニュース検索では、一般的なウェブ検索よりもCTRが低くなる傾向があります。これらは視覚情報に左右されるため、タイトルや説明文よりも「サムネイル画像」がクリックに直結します。
したがって、検索結果の種類に応じたCTR戦略を練ることが重要です。たとえば、画像検索を想定するなら視覚訴求力を高めたファーストビュー設計が不可欠です。
2024年以降、Googleの検索結果に登場した「AI Overview(生成AIによる要約表示)」や「強調スニペット」は、CTRに大きな影響を与え始めています。
表示要素 | CTRへの影響 | 補足 |
---|---|---|
強調スニペットあり | 上昇または減少 | 要約内に情報が完結するとCTRが下がることもある |
AI Overviewあり | 大幅に低下する傾向 | 要約だけで満足されクリックが発生しないケースが多い |
構造化データ(FAQ等) | 上昇する傾向 | サイトの情報が目立ちやすく、信頼性も高く見える |
リッチリザルトなし | 通常通り | コンテンツの内容だけで勝負する必要がある |
強調スニペット(Featured Snippet)も同様に、通常の1位より上部に表示されるためCTRは高くなりやすいですが、要約文で疑問が解決してしまうと、逆にクリックされないリスクもあります。
これらの要素に対応するためには、「クリックしたくなるタイトル」「読みたくなる導線設計」がこれまで以上に重要になってきています。
クリック率(CTR)が高いと検索順位が上がる──この認識は一部正しく、一部誤解を含んでいます。Googleは公式には「CTRをランキング要因として使用していない」としていますが、実際にはCTRと順位には強い相関関係があると、多くの実験や調査から明らかになっています。
CTRが高いページは、検索ユーザーから「選ばれやすいページ」と評価されている証です。この行動データはGoogleのアルゴリズムにも一定の影響を与える可能性があります。特に、ユーザーが検索結果に対してどのように反応するかを示す「行動シグナル」は、検索意図との関連性評価に利用されていると考えられています。
つまり、「CTRが高い=必ず順位が上がる」わけではないものの、ユーザーの選択行動として間接的に順位に影響を与えている可能性は高いのです。
CTRの他にも、Googleは「ユーザー行動」を総合的に評価していると見られています。代表的な行動指標には以下のようなものがあります。
たとえば、CTRが高くても直帰率が高ければ、「ユーザーの期待に応えられなかった」と判断され、逆にマイナス評価につながる可能性があります。また、すぐに戻って別のページをクリックする「再検索行動」が発生すると、「そのページは不十分だった」と見なされやすくなります。
このように、CTR単体ではなく、ユーザーの一連の行動を通じて検索順位が形成されていると考えるべきです。したがって、CTRを高めるだけでなく、クリック後の体験設計も含めて最適化することが、真のSEO対策と言えるでしょう。
Googleサーチコンソール(GSC)は、CTRを確認・改善するうえで必須のツールです。まず、ページごとのCTRを確認するには、以下の手順を踏みます。
これで各ページごとのインプレッション数、クリック数、CTR、平均掲載順位が一覧で確認できます。CTRが極端に低いページは、タイトルやメタディスクリプションの見直し候補となるため、数値の変動には注意が必要です。
ページ単位の分析に加え、「検索クエリ単位」のCTR確認も非常に有効です。特定のキーワードで検索された際に、どれくらいクリックされているかを把握できます。
手順は以下の通りです。
ここで注目すべきは、「平均順位は高いのにCTRが低いクエリ」です。これはタイトルの訴求が弱いか、検索意図とズレている可能性があります。検索クエリごとのCTRを改善することで、SEO効果をさらに引き出すことが可能です。
より詳細な分析には、「Search Analytics for Sheets」というGoogle Sheets用の無料アドオンが便利です。これはサーチコンソールのデータをGoogleスプレッドシートに直接取り込み、カスタマイズ分析が可能になるツールです。
サイドバーから以下の条件を設定してAPIリクエストを送信します。
取得したデータは自動でシートに出力され、フィルターや条件付き書式を使って詳細な分析ができます。たとえば、「順位が高いのにCTRが低いページ」を抽出したり、「クエリごとのCTRのばらつき」をグラフ化することも可能です。
Search Analytics for Sheetsを活用すれば、GSC単体では見えにくい傾向や問題点を可視化でき、SEO改善の優先順位を正確に判断できるようになります。
Search Console のツールやレポートを使うことで、サイトの検索トラフィックや掲載順位を測定できるほか、問題を修正し、Google 検索結果でのサイトの注目度を高めることができます
CTR改善の第一歩は、「そのページのCTRが本当に低いのか」を知ることです。そこで活用されるのが、検索順位とCTRの関係をグラフで可視化する方法です。特に有効なのが散布図とトレンドラインの分析です。
GoogleスプレッドシートやExcelに、Search Analytics for Sheetsなどで取得した「平均掲載順位」「CTR」のデータを入力し、以下の手順でグラフを作成します。
このトレンドラインが「想定CTR」の目安となります。つまり、平均掲載順位ごとに、どれくらいのCTRが一般的かをデータに基づいて推定できるのです。
この可視化により、「順位5位でCTRが2%しかないページは平均より低い」「順位8位でもCTRが高めだから改善優先度は低い」といった判断が可能になります。
「実際のCTRが想定CTRよりも大幅に低いページ」は、改善対象として優先すべきです。逆に、想定CTRと同等、もしくは上回っているページは、現時点で十分なパフォーマンスを出している可能性が高く、改善の優先度は下がります。
この比較により、次のような施策が明確になります。
ページURL | 平均掲載順位 | 実CTR | 想定CTR | 差分 | 改善優先度 |
---|---|---|---|---|---|
/example-a | 3位 | 5.5% | 11% | -5.5% | 高 |
/example-b | 6位 | 3% | 3% | ±0% | 中 |
/example-c | 2位 | 16% | 17% | -1% | 低 |
/example-d | 5位 | 2.5% | 6% | -3.5% | 高 |
たとえば、掲載順位が4位でCTRが2%の場合、想定CTR(仮に6〜8%)に比べて大きく下回っているため、何らかの問題があると判断できます。
この「実CTRと想定CTRのギャップ分析」は、SEOの優先順位付けやABテストの企画立案にも非常に役立ちます。闇雲に全ページをリライトするのではなく、データに基づいた改善判断を下すことで、効率的かつ効果的なCTR改善が実現できます。
検索結果において、ユーザーが最初に目にするのがタイトルとメタディスクリプションです。CTRを大きく左右するこの2つの要素を改善するだけで、順位を変えずに流入数を増やすことが可能です。
要素カテゴリ | 具体施策 | 影響度(高・中・低) | 備考 |
---|---|---|---|
タイトル | 数字・ベネフィット・意図明確化 | 高 | 一番最初に目に入る要素 |
ディスクリプション | 簡潔+訴求+行動喚起 | 高 | 読まれる文の質がCTRを左右 |
ファビコン | 視認性のあるロゴ設定 | 中 | スマホで特に効果的 |
構造化データ | FAQ/レビュー/星評価など | 高 | リッチリザルト表示に有効 |
更新頻度 | 定期的なリライト | 中 | フレッシュネス対策にもなる |
CTA配置 | ファーストビュー/中段設置 | 中 | 行動喚起の強化策 |
タイトルとディスクリプションは「広告文」と同じ発想で設計することで、CTR改善に直結します。
関連記事:SEOに最適なタイトルの文字数とは?魅力的なタイトル作成のコツ
視覚的に目立つ工夫もCTRに影響を与えます。特に近年、Google検索結果ではファビコンの表示や構造化データによる強調表示がCTRを左右する要素となっています。
構造化データによってリッチリザルトが表示されれば、検索順位に変化がなくても目立ちやすくなり、クリックされる確率が高まります。
CTRが低い原因として、古い情報や曖昧な表現が挙げられます。検索結果では、更新日の新しさもユーザーの判断材料となるため、定期的なリライトが必要です。
また、Googleは「フレッシュネス(情報の新しさ)」もランキング要因のひとつと見なしているため、更新頻度の高いサイトは検索順位でも優位に立ちやすくなります。リライトを通じてCTRを高めると同時に、間接的な順位上昇も狙えるのです。
ユーザーが検索する背景には明確な「意図」があります。CTRが低いページは、そもそもその意図に合っていない可能性が高いため、コンテンツ構成の見直しが有効です。
また、ページ下部だけでなくファーストビューや記事中段にもCTAを配置することで、行動を後押ししやすくなります。検索意図に対する「答え」と「次のアクション」を明示することが、結果としてCTR改善につながります。
SEO施策において、CTRは非常に有効なKPI(重要業績評価指標)となります。なぜなら、CTRは「ユーザーの興味を数字で測れる指標」だからです。特に、想定CTR(検索順位に基づく平均的なCTR)と、実際のCTRを比較することで、そのページにどれだけ改善余地があるかを定量的に把握できます。
たとえば、5位に表示されているページの想定CTRが6%だったとして、実CTRが3%であれば「差分=マイナス3%」という改善余地が見えてきます。この差分が大きいページほど、改善による成果が大きく見込めます。数値で優先順位が明確になるため、効率的なリソース配分が可能になります。
全ページを一斉に改善するのは現実的ではないため、CTRの数値をもとにSEO施策の優先順位をつけることが成果を高めるポイントです。以下のような判断基準が有効です。
このように、CTRは「今すぐ改善すべきページ」を浮き彫りにするツールとして活用できます。単なる数値として見るのではなく、行動に結びつけるKPIとして活用することで、SEOの生産性を飛躍的に高めることが可能です。
検索順位とクリック率(CTR)は、SEOにおいて密接に関連する重要な指標です。上位表示されることでクリックの機会は増えますが、CTRが低ければその効果は半減してしまいます。逆に、順位がさほど高くなくても、魅力的なタイトルや検索意図に沿った構成によって高いCTRを実現することも可能です。
また、CTRは単なる「クリックされる割合」にとどまらず、ユーザーの行動を通じてGoogleの評価にも間接的に影響を与える可能性があります。CTRを戦略的に捉えることで、検索流入の最大化だけでなく、順位上昇にも貢献するでしょう。
本記事では、検索順位別のCTRデータ、分析方法、改善施策、そして事例までを網羅しました。サーチコンソールを活用して実データを把握し、想定CTRとの比較で優先順位を明確化することが、効率的な改善への第一歩です。
CTRを正しく理解し、改善に取り組むことで、SEOの成果を確実に引き上げることが可能です。ぜひ本記事を参考に、実践的な改善アクションを進めてください。
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監修者プロフィール
ACTRが高くても検索順位が低い場合、それは「限られた露出の中でも強く訴求できている」ということです。たとえば、ニッチなキーワードやブランド名での検索では、順位が低くてもクリックされやすい傾向があります。また、検索ユーザーが意図的に下位までスクロールして選ぶケースもあります。
このような場合は、コンテンツの質や被リンクの獲得など、外部要因の強化によって順位上昇を狙うのが効果的です。
A「クリック数」は純粋にユーザーがリンクをクリックした回数を表します。一方で「CTR(クリック率)」は、表示された回数(インプレッション)に対して何%がクリックされたかを示す割合です。
クリック数=絶対数
CTR=相対的な指標(%)
たとえば、100回表示されて10回クリックされた場合、クリック数は10、CTRは10%となります。CTRはページの「選ばれやすさ」を測る重要な比較指標です。
A一般的に、検索順位1位のCTRは約27〜30%、2位では15〜18%前後とされ、10%以上の開きが生まれることもあります。つまり、たった1つ順位が下がるだけで、クリックされる確率は大きく低下します。
このため、1位を獲得する意義は依然として大きく、タイトル・ディスクリプションを最適化して1位表示を目指す施策は、SEOにおいて今も有効な戦略です。
Aクリック数の改善が検索順位に直接的な効果を及ぼすとは限りませんが、間接的な影響は十分に考えられます。CTRが向上し、さらにページ滞在時間や直帰率といった他の行動指標も良好であれば、Googleは「ユーザーにとって有益なページ」と評価する可能性があります。
その結果、検索順位の上昇につながるケースもあります。つまり、クリック数やCTRの改善は、順位上昇のための土台作りと考えるべきです。
A検索順位が高くても、タイトルやメタディスクリプションが検索ユーザーの意図に合っていなかったり、競合のほうが魅力的だった場合、クリックされにくくなります。視認性や訴求力の工夫が重要です。
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