更新日: 2025.06.17
SEO対策やローカル集客に力を入れているものの、「なかなか検索順位が上がらない」「競合店に負けてしまう」と悩んでいませんか。被リンクやコンテンツの質に注力しても、思ったような成果が出ない場合、見落とされがちな要素としてサイテーションがあります。
サイテーションとは、インターネット上で店舗名や会社名、住所、電話番号などが第三者に言及されることを指します。特にGoogleをはじめとする検索エンジンは、このサイテーションを信頼性や知名度の指標として評価に活用しています。にもかかわらず、サイテーション対策に着手している企業や店舗はまだ多くありません。
本記事では、サイテーションの基本的な意味やSEO・MEOにおける重要性、具体的な増やし方、管理・測定方法まで網羅的に解説します。さらに、ネガティブな言及への対応や失敗を避けるための注意点も詳しく紹介します。
目次
サイテーションとは、インターネット上で特定の店舗名、会社名、住所、電話番号といった情報が他のウェブサイトやSNS、ディレクトリなどで言及されることを指します。
英語の「citation(引用・言及)」に由来し、リンクの有無を問わず、情報の掲載や名前の登場そのものが評価対象となります。特にローカルSEOやMEO対策では、このサイテーションが検索エンジンの評価基準の一つとされています。
SEOにおいては被リンクが従来から重要視されていますが、サイテーションは被リンクがなくとも存在が認識され、信頼性や知名度を示す指標となります。Googleはその店舗や事業の正確な情報がどれだけ多くの場所で一貫して掲載されているかを重視し、検索順位やローカルパックへの表示に反映させています。
サイテーションは、簡単に言えば「言及」のことです。
リンクが貼られていなくても、店舗名・住所・電話番号(NAP情報)などが正確に掲載されていることで、検索エンジンはその存在を認識します。
Mozは、ウェブサイトのURLが含まれる場合は「NAP+W」とも呼ばれると定義しています。
参考:What is NAP in Local SEO? – Moz
一方で被リンクは、明確なリンクを通じて評価を受けるものであり、リンク先のページ評価やアンカーテキストなども順位決定に影響します。
サイテーションは主にローカルSEOの文脈で重要性が高く、地域名と一緒に掲載されることで地元での認知度向上にもつながります。
Googleがサイテーションを評価するのは、オンライン上の信頼性や事業の存在証明を確認するためです。
多くのウェブサイトやSNS、業界ディレクトリで一貫した情報が掲載されていることは、実在する事業である証拠とみなされ、信頼性が高まります。
また、第三者から自然発生的に言及されることで、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の向上にも寄与します。
その結果、ローカル検索の順位やローカルパックへの表示率の向上につながるのです。
Search Engine Journal(SEJ)は、E-E-A-Tが「実際の価値に焦点を当てた堅固なSEO基盤を構築することで、将来のアルゴリズム更新から保護する」役割を果たすと指摘しており 、アルゴリズムの変動に対するレジリエンスを高める重要な防御戦略となります。
参考:How local businesses can use E-E-A-T to improve local SEO rankings
サイテーションは、SEOやMEO(マップエンジン最適化)において見落とされがちな要素ですが、検索順位やローカルパック表示に大きく影響します。
Googleはローカル検索結果の評価基準として、NAP情報の一貫性や外部サイトでの言及数を重要視しています。
参考:How to improve your local ranking on Google – Google Business Profile Help
そのため、サイテーションが多く、かつ正確であるほど、地域検索やマップ表示で上位に表示されやすくなります。
被リンクに頼らない形で信頼性や認知度を示せるため、特に地域密着型の店舗やサービスにおいて欠かせない施策です。
サイテーションが充実していると、Googleビジネスプロフィールの情報が検索エンジンに正確に伝わり、ローカルパック(地図付きの検索結果)での表示順位向上に直結します。
How Google determines local ranking
Local results are based primarily on relevance, distance, and prominence. A combination of these factors helps us find the best match for your search. For example, our algorithms might decide that a business that’s farther away from your location is more likely to have what you’re looking for than a business that’s closer, and therefore rank it higher in local results.
参考:How to improve your local ranking on Google
たとえば、地域名+業種で検索した際に、地元のディレクトリサイトや口コミサイトに一貫した情報が多く掲載されていれば、その信頼性は高く評価されます。
また、口コミの中で店舗名が言及されることもサイテーションとなり、MEO対策の一環として有効です。
E-E-A-Tとは、経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)を意味するGoogleの評価基準です。
サイテーションはこの中でも特に権威性と信頼性を高める要素となります。
多くの第三者サイトで一貫して言及されることは、その店舗や会社の存在感や信頼性を示す証拠となるためです。
さらに、業界関連の信頼性の高いメディアやディレクトリでのサイテーションは、専門性や権威性の強化にも寄与します。
参考:Google E-E-A-T: What Is It & How To Demonstrate It For SEO
E‑E‑A‑T要素 | サイテーションとの関係 | 強化アクション |
---|---|---|
権威性 (A) | 他サイトからの言及が「信頼の証明」に | 業界ディレクトリ・ニュース掲載を獲得 |
信頼性 (T) | 一貫する情報提示+透明性が信頼構築に | NAP・プロフィール情報の徹底一致 |
専門性 (E) | 業界内での言及が専門家としての認識に繋がる | 専門媒体での解説記事・寄稿を増やす |
経験 (E) | 口コミや体験談の言及 → 実在感と共感が生まれる | レビューでの店舗名+地域言及を促す |
サイテーションにおいて最も重要なのが、NAP(Name、Address、Phone)情報の正確性と統一性です。
NAPは検索エンジンに対して事業の存在を証明する情報であり、これに誤りやばらつきがあると、Googleは信頼性を低く評価する可能性があります。
特にローカルSEOやMEOでは、各プラットフォームやサイトで一貫したNAP情報を提供することが、検索順位やローカルパック表示の向上に直結します。
NAPとは、Name(店舗・会社名)、Address(住所)、Phone(電話番号)の頭文字を取ったもので、サイテーションの核となる情報です。
サイテーションはこのNAP情報がさまざまなサイトやディレクトリ、SNSで正確に言及されることで成り立っています。
GoogleはNAP情報の一貫性を確認することで、店舗や会社の実在性を評価します。そのためNAP情報のズレは、ローカルSEOに悪影響を及ぼします。
Mozの調査では、消費者の52%が、ローカルビジネスリスティングで虚偽または不正確な情報を見つけた後に否定的なレビューを残すことが判明しており、NAPの正確性が顧客満足度にも直接影響することが示されています 。
参考:What is NAP in Local SEO? – Moz
このように、あらゆるオンライン上の情報を統一することで、サイテーションの信頼性が高まり、検索エンジンの評価向上につながります 。なお、Googleビジネスプロフィールのビジネス名にキーワードを無理に詰め込むことはGoogleのガイドラインに違反し、プロフィールの停止につながる可能性があるため、避けるべきです 。
参考:What Information Impacts Your Google Business Profile Ranking? – Local Falcon
NAPを統一するには、以下のステップを実行することが効果的です。
このように、あらゆるオンライン上の情報を統一することで、サイテーションの信頼性が高まり、検索エンジンの評価向上につながります。
サイテーションを効果的に増やすには、自然な形で第三者からの言及を増やす施策を講じることが重要です。
単に被リンクを集めるのではなく、地域や業界に関連する媒体やSNS、口コミサイトでの正確な情報の掲載・言及を促すことが求められます。以下に、具体的な実践方法を紹介します。
SNSはサイテーションを増やす上で有効なチャネルです。公式アカウントを活用し、店舗名やサービス名を積極的に発信することで、フォロワーや第三者の投稿での言及を促せます。また、InstagramやX(旧Twitter)、Facebookといった主要プラットフォームで、統一したNAP情報をプロフィールに記載することも大切です。
さらに、Googleマップの口コミ、食べログ、ぐるなび、エキテンなどの口コミサイトにおいて、ユーザーによる投稿で店舗名が自然に言及されるよう、口コミ依頼やレビューキャンペーンを行うのも有効な施策です。
信頼性の高いローカルディレクトリや業界特化型のサイトへの登録は、サイテーションを効率的に増やす手段です。例えば、商工会議所や地域ポータルサイト、業種別の専門ディレクトリへの掲載を積極的に進めましょう。これらはGoogleが信頼性を高く評価するサイトであるため、検索順位への好影響も期待できます。
また、地域のニュースサイトやローカルメディアでの紹介記事を獲得することも、サイテーション強化に直結します。プレスリリースの配信や地域イベントへの参加・協賛を通じ、第三者から自然な言及を生み出す仕組みづくりが重要です。
サイテーションの効果を最大化するには、言及状況を定期的に確認し、管理することが欠かせません。特にNAP情報の不一致や誤記が見つかった場合、迅速に修正することで信頼性低下を防げます。ここでは、サイテーションの確認や管理に役立つ方法を紹介します。
サイテーション管理には、以下のようなツールが有効です。
ツール名 | 主要な機能 | 強み/特記事項 |
Moz Local | NAP監査、重複検出、新規機会発見、一括更新、レビューモニタリング、GBP統合 | 広範な自動化とリスティング同期に強み 。 |
BrightLocal | NAP監査、既存サイテーション追跡、重複検出、新規機会発見、競合分析、ワークフロー管理、ホワイトラベルレポート | 堅牢な監査機能とホワイトラベルレポートに強み。競合他社のサイテーション分析が特に有用 。 |
Semrush Local | サイテーション監査、不足ディレクトリ特定、エラー修正提案、一括データ配信、GBP統合、ローカルSEOスイート | 包括的なローカルSEOスイートの一部としてサイテーション管理を提供。一括更新機能が強力 。 |
Yext | 多数のローカルディレクトリや地図サービスとの連携、一元管理、リアルタイム更新 | エンタープライズレベルの多店舗管理に強み 。 |
Whitespark | サイテーション構築・確認に特化、競合比較、ニッチな機会発見 | サイテーション構築とニッチな機会発見に特化 。 |
ツールを活用することで、サイテーション状況の可視化や管理の効率化が図れます。
Googleアラートは無料で利用でき、サイテーションのモニタリングに役立ちます。店舗名や会社名をキーワード登録しておくことで、新たな言及や掲載をメールで通知してくれます。これにより、第三者サイトでの新規サイテーションを素早く把握し、必要に応じてNAP情報の正確性確認や修正依頼が可能となります。
また、競合店名もアラート登録することで、自社と競合のサイテーション状況を比較する材料として活用できます。
サイテーションはポジティブな言及だけでなく、ネガティブな言及も検索エンジンに認識されます。悪質な口コミや誤った情報が掲載されると、ローカルSEOや企業・店舗の信頼性に悪影響を与える可能性があります。適切な対応を取ることで、被害の拡大を防ぎ、信頼回復につなげることが重要です。
まず、ネガティブサイテーションを発見したら、冷静に内容を確認します。事実誤認や誹謗中傷にあたる場合は、掲載元に訂正依頼や削除要請を行います。Googleマップの口コミであれば、不適切なレビューとして報告する機能を活用できます。
参考:How to delete bad reviews left on my google business? : r/SEO
また、悪質なサイテーションへの直接対応に加え、ポジティブな言及を増やす施策を同時に進めることも重要です。プレスリリースやイベント告知、顧客満足度向上施策などを通じて、信頼性の高い新しいサイテーションを積極的に生み出すことが、長期的なリスクヘッジとなります。
サイテーション対策は正しい方法で進めなければ、逆効果となることがあります。代表的な失敗例を理解し、注意点を押さえておくことで、施策の質を高めることができます。
よくある失敗例のひとつが、NAP情報の不統一です。 登録するサイトごとに表記が微妙に異なっていたり、古い情報が残っていたりすると、検索エンジンに不信感を与え、評価が下がる原因となります。
参考:Inconsistent NAP Across Listings: A Major Local SEO Challenge
また、自作自演のサイテーションも注意が必要です。複数の自社運営サイトやSNSアカウントで不自然に自店舗を言及するだけでは、検索エンジンに見抜かれる可能性が高く、逆に評価を落とすこともあります。
参考:What Google’s New Spam Rules Mean for Your Local Business Visibility ~ AdInfusion
その他、サイテーションの管理を怠ることで、誤情報やネガティブな言及が長期間放置され、企業や店舗のブランドイメージを傷つける結果になりかねません。定期的な確認と適切な管理体制を維持することが成功の鍵です。
サイテーション対策の成果を確認するには、定期的な効果測定が欠かせません。単に言及数を増やすだけでなく、質や正確性、検索順位への影響を把握し、必要に応じて改善を重ねることで最大限の効果が期待できます。
まず、主要ツールを活用した計測がおすすめです。Moz LocalやWhitesparkなどでNAP情報の統一状況、サイテーションの分布、掲載先の信頼性を数値化できます。加えて、GoogleアナリティクスやGoogleビジネスプロフィールのインサイトで、検索表示回数やマップからの経路検索数の変化を確認することも効果測定の重要な視点です。
改善のポイントとしては、誤情報の修正や新たな信頼性の高いサイトへの掲載を進めることが挙げられます。また、口コミやレビューで自然な言及を増やすためのキャンペーンや、ローカルメディアとの関係強化も有効です。こうした地道な取り組みの積み重ねが、ローカルSEOでの上位表示につながります。
英国とアイルランドで650以上の教室を展開する学習塾Kumonは、かつて各教室のNAP情報の不一致によりローカル検索での機会を逸していました。そこで主要なローカルディレクトリ(Yell、Scootなど)での情報を一元管理し、すべての教室で正確な情報を統一。これにより以下の成果を得ました。
(出典:BrightLocal)
フロリダ州タンパの法律事務所では、地元メディアや業界ブログでの事務所言及を増やし、非構造化サイテーションを強化しました。
(出典:Rocket Clicks)
サイテーションは、ローカルSEOやMEOにおいて検索順位を左右する重要な要素です。NAP情報を統一し、信頼性の高いサイトや第三者からの自然な言及を増やすことが、検索エンジンに正しく評価される第一歩となります。単なる被リンク獲得だけに頼らず、サイテーションを含めた総合的な対策を講じることで、集客力やブランド信頼性の向上につながります。
今回ご紹介した施策や注意点を参考に、サイテーションを積極的に管理・改善し、長期的なSEO戦略の強化を図りましょう。
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監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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