リマーケティングとリターゲティングの違いとは?定義から具体的な使い分けまでを解説

公開日: 2025.10.17

デジタル広告の運用に携わっていると、「リマーケティング」と「リターゲティング」という言葉を目にすることが多いのではないでしょうか。なんとなく似たような意味として使われることが多く、違いが曖昧なまま運用している担当者も少なくありません。

しかし、この2つの言葉には本来明確な違いがあり、それを理解せずに運用を続けると、広告効果が頭打ちになるリスクがあります。ユーザーの行動に合わせた適切なアプローチを実現するためには、それぞれの意味や使い方を正しく押さえておくことが重要です。

この記事では、「リマーケティング」と「リターゲティング」の定義から具体的な使い分けまでを体系的に解説します。混同されがちな用語の違いを明確にし、どのような場面でどちらを活用すべきか、判断軸を持てるようになることを目的としています。

読み終える頃には、自社の広告戦略においてどちらを選択すべきかがはっきりと見えるようになるはずです。

リマーケティングとリターゲティングの違いとは?

比較項目 リマーケティング リターゲティング
主な目的 ブランド再認知、継続的な接触 コンバージョン促進、購買行動の後押し
主な活用媒体 Google広告 Facebook広告、LINE広告など
ターゲットユーザー 広範囲(サイト訪問者全般) 行動済みの見込み顧客(例:カート放棄者)
配信方法 ユーザーリスト(URLや行動ベース) Cookie/ピクセルタグによる行動追跡

リマーケティングとは?

リマーケティングとは、過去に自社のWEBサイトを訪れたユーザーや、特定の行動を取ったユーザーに対して、再度広告を配信する手法です。主にGoogle広告で使用される用語で、訪問履歴に基づいてオーディエンスをリスト化し、そのリストに対してディスプレイ広告やYouTube広告を出すことが一般的です。

リマーケティングの特徴は、ユーザーの行動に応じた細かなセグメント設定が可能である点です。たとえば「カートに商品を入れたが購入しなかったユーザー」や「特定のページを閲覧したユーザー」に限定して広告を配信することで、より高い成果が期待できます。

特にコンバージョン率を高めたいタイミングで有効な手法です。

関連記事:Google広告のリマーケティングとは?仕組みや設定方法、成果を上げるためのポイントを解説

リターゲティングとは?

リターゲティングとは、過去に接触のあったユーザーを追跡し、広告を再表示するマーケティング手法の一つです。Facebook(Meta)広告やLINE広告など、Google以外の媒体でよく使われる言葉で、基本的な考え方はリマーケティングと同様です。

クッキー情報やピクセルタグを使ってユーザーの行動を記録し、広告を表示する仕組みとなっています。たとえば、SNSで一度自社サービスの広告をクリックしたユーザーに対し、別の投稿やストーリーズで再度広告を表示することが可能です。

リターゲティングは、ユーザーとのエンゲージメントを継続し、関心を高めるのに適しています。

なぜ混同されるのか?

用語の使われ方の違い(広告業界・媒体による差)

リマーケティングとリターゲティングは、実は「指している内容はほぼ同じ」であるにもかかわらず、使われる場面や媒体によって名称が異なることが混乱の原因です。
たとえばGoogle広告では「リマーケティング」という用語が正式に採用されており、公式ドキュメントや管理画面でもこの表現が使われています。一方、Facebook(Meta)広告やCriteoなどの媒体では「リターゲティング」という表現が一般的です。

つまり、同じ行動ターゲティングの手法であっても、プラットフォームによって名称が変わることが、混同を生む大きな要因となっています。

同じ意味で使われるケースとその理由

さらに厄介なのは、多くのマーケターや広告代理店が両者を「同義語」として扱っているケースがあることです。実務の現場では、細かい違いよりも施策の目的に焦点が当てられるため、「過去接触ユーザーへの広告=リターゲティング(またはリマーケティング)」という大まかな理解で会話が進むことが多くなります。

結果として、用語の厳密な区別が曖昧になり、両者が混同されやすい状況が生まれているのです。

リマーケティングとリターゲティングの具体的な違い

目的の違い

リマーケティングは「ユーザーへの再認知」を目的とする傾向が強く、ブランドや商品を思い出してもらうための接触手段として使われます。一方、リターゲティングは「コンバージョンの促進」が主な目的であり、資料請求や購入といった具体的な行動を引き出すために使われることが多いです。

このように、広告の目的フェーズが異なる点が、両者の実務的な使い分けにおける重要なポイントとなります。

ターゲットユーザーの違い

リマーケティングでは、サイトに訪問したことのあるユーザー全般を対象とすることが多く、比較的広い層をカバーします。たとえば、ブログ記事を読んだユーザーや商品一覧ページを見ただけのユーザーも対象です。

一方、リターゲティングでは、特定のアクション(カート投入・広告クリック・フォーム入力途中など)を行ったユーザーに絞るケースが多く、よりコンバージョンに近い見込み顧客へのアプローチが中心です。

配信方法の違い

リマーケティングでは、主にユーザーリストを用いて広告を配信します。たとえば「過去30日以内に特定ページを訪れたユーザー」のリストを作成し、それに基づいて広告を出稿します。

一方、リターゲティングではCookieピクセルタグなどのトラッキング技術を活用し、ユーザーのWeb上の行動をリアルタイムで把握しながら広告を配信するのが一般的です。

このように、技術的な仕組みにも若干の違いがあります。

媒体別の使い分け(Google・Meta・X・LINEなど)

Google広告でのリマーケティング

Google広告におけるリマーケティングは、最も代表的な活用例のひとつです。Googleディスプレイネットワーク(GDN)を通じて、過去に自社サイトを訪問したユーザーに対して、バナー広告やYouTube広告を配信することができます。

特に強力なのが、訪問履歴をもとにしたオーディエンスリストの精密な管理です。特定のページを閲覧したユーザー、カートに商品を入れたが購入しなかったユーザーなど、細かな条件でターゲティングが可能です。

また、動的リマーケティングにより、ユーザーが閲覧した商品をそのまま広告として再表示する機能も活用できます。

Meta(Facebook/Instagram)のリターゲティング

Meta広告では、「リターゲティング」という言葉が一般的に使われます。FacebookやInstagram上で、自社のWebサイトやアプリにアクセスしたユーザーに対して広告を再表示する仕組みです。

Metaピクセルを活用することで、ユーザーのアクション(閲覧、クリック、フォーム送信など)を追跡し、行動に応じたセグメントに広告を配信できます。たとえば「カート放棄者」や「特定商品の閲覧者」に対し、フィード広告やストーリーズで再接触を図ることが可能です。

クリエイティブの自由度も高く、パーソナライズされた広告体験を提供できます。

LINE広告やX(旧Twitter)での活用

LINE広告やX(旧Twitter)広告においても、リターゲティング的な手法が利用可能です。LINEでは「LINE Tag」を活用して、過去にサイトを訪問したユーザーへトークリストやタイムライン上に広告を配信できます。

X広告では「ウェブサイトアクティビティオーディエンス」を設定し、クリックや閲覧履歴に基づいた広告配信が可能です。これらも、広義のリターゲティングとして位置づけられます。

それぞれの媒体特性に応じたフォーマットと配信タイミングの工夫が成果に直結します。

媒体 呼び方 主な手法 特徴
Google広告 リマーケティング ユーザーリストで配信 精密なセグメント設定が可能、GDNやYouTubeと連携
Meta広告 リターゲティング Metaピクセルを活用 SNS広告に強い、動的広告が豊富
LINE広告 リターゲティング LINE Tagでの訪問履歴ベース配信 タイムラインやトークリスト上に広告表示可能
X広告 リターゲティング ウェブサイトアクティビティ使用 リアルタイムでの接触が可能

効果的な使い分け方と判断基準

どんな目的ならリマーケティング?

リマーケティングは、ブランドの再認知や検討段階の後押しに効果的です。たとえば、商品ページやサービス詳細を閲覧したがアクションには至らなかったユーザーに対して、再度接触することで購入意欲を高めることができます。

また、広告管理の自由度が高く、細かな条件設定や広告の出し分けがしやすい点も特徴です。長期的な接触で関係性を構築したい場合や、比較検討のタイミングを狙いたい場合には、リマーケティングが向いています。

Google広告を中心に、広範なディスプレイネットワークでの運用が可能です。

どんなシーンでリターゲティングが有効?

リターゲティングは、コンバージョン直前のユーザーへの再接触に強みがあります。例えばカートに商品を入れたまま離脱したユーザーや、広告をクリックしてフォームの途中まで入力したユーザーに対し、購入や申込完了を促す形で広告を再表示します。

SNSや動画広告との相性も良く、動的なコンテンツでユーザーの行動に合わせた訴求ができる点がメリットです。タイムリーな訴求でコンバージョン率を高めたいシーンでは、リターゲティングの導入が効果を発揮します。

Facebook広告、Instagram広告、LINE広告などが代表的な活用媒体です。

併用はできるのか?

リマーケティングとリターゲティングは、目的や媒体ごとに併用することが可能かつ効果的です。ユーザーの行動段階や接触チャネルに応じて両者を使い分けることで、広告効果の最大化が期待できます。

運用の際の注意点と成功のコツ

広告疲れ・過剰接触を避けるには

リマーケティングやリターゲティングは、同じユーザーに繰り返し広告を表示するため、**広告疲れ(フリークエンシー疲弊)**を引き起こすリスクがあります。これを避けるには、1人あたりの表示回数を制限する「フリークエンシーキャップ」の設定が効果的です。

また、クリエイティブのバリエーションを増やすことで、印象のマンネリ化を防ぎ、ユーザーの興味を維持できます。

成果を上げるターゲティング設計

成果を高めるには、適切なセグメント分けが欠かせません。たとえば「閲覧だけのユーザー」と「カート放棄ユーザー」では購買意欲が異なるため、同じ広告を配信しても効果は変わります。

ユーザーの行動データをもとにリストを細分化し、それぞれに適したメッセージやCTAを設定することで、コンバージョン率の向上が期待できます。

効果測定と改善ポイント

広告配信後は、定期的な効果測定と改善が必要です。クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)などの指標をチェックし、成果が出ていないセグメントやクリエイティブの見直しを行いましょう。

また、A/Bテストを活用することで、より効果の高い訴求方法を見つけやすくなります。改善の積み重ねが、リマーケティング/リターゲティングの成功を左右します。

まとめ

リマーケティングとリターゲティングは、どちらも「過去に接触のあったユーザーに再アプローチする」という点では共通していますが、媒体や目的、対象ユーザーの違いにより適切な使い分けが求められます。

Google広告を中心に活用されるリマーケティングは、比較的広い層への再認知や情報提供に強みがあり、長期的な関係構築に向いています。一方、SNS広告などで使われるリターゲティングは、今すぐ行動を起こしそうなユーザーへの追い込みに効果的です。

本記事で解説したように、ユーザーの行動段階や媒体特性に応じて手法を選ぶことで、広告の効果を最大化することが可能です。まずは自社の目的と課題を明確にし、それに適した再アプローチ施策を導入しましょう。

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監修者プロフィール

平岡 悟

平岡 悟

株式会社センタード 代表取締役

WEBマーケティング歴25年。セプテーニとSBIホールディングスのJVでの金融広告事業をはじめ不動産・人材・旅行・化粧品等多業界広告での経験を経て2010年に株式会社センタードを設立。クライアントワークでWEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの改善設計まで、自社ではSFA/MAを活用したインバウンドマーケティングからインサイドセールスまでを統括。現在も実践の最前線でAIでWEBマーケティングを最適化しサービス強化。1,300社以上の実績と顧客満足度96%、顧客推奨度90%を実現。
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