公開日: 2025.07.08
商品・サービスを認知してもらい、潜在層へアプローチしたいと考える企業は多くあります。その中で注目されているのが、GDN(Googleディスプレイネットワーク)です。Googleが提供するこの広告ネットワークは、Webサイトやアプリ、YouTubeなど幅広い配信先に広告を表示できる仕組みを持ち、ユーザーの興味関心に応じて広告を届けられる強力な手段です。
しかし、「GDNと検索広告の違いは?」「どう設定すれば効果が出るのか?」「どのようなターゲティングができるのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。GDNは非常に柔軟かつ多機能である一方、適切な設計や運用がされていないと十分な成果につながらない可能性もあります。
本記事では、GDNの基本的な仕組みからターゲティング方法、広告フォーマット、設定手順、活用事例、成果を出すためのポイントまでを網羅的に解説します。これからGDNを始めたい方はもちろん、既に導入しているが成果が伸び悩んでいる方にも参考になる内容です。
目次
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ、動画コンテンツなどの視覚的なコンテンツ内に表示される広告形式のことを指します。主にバナー画像や動画形式で表示され、検索行動に限らず、ユーザーの興味関心や行動履歴に基づいて広告を配信できるのが特徴です。
ディスプレイ キャンペーンでは、Google ディスプレイ ネットワークで視覚に訴える広告を配信できます。ディスプレイ ネットワークを使用すると、何百万ものウェブサイトやアプリ、Google の所有するサービス(YouTube や Gmail など)を閲覧しているユーザーにアプローチできます。
引用:ディスプレイ広告と Google ディスプレイ ネットワークについて – Google 広告 ヘルプ
この広告手法は、潜在層にアプローチできる点が最大の魅力です。まだ商品やサービスを「検索していない」段階のユーザーにも広告を表示できるため、認知拡大やブランディング、検討促進に効果を発揮します。また、視覚的要素があるため、印象に残りやすく、クリックされなくても認知効果が期待できます。
Googleが提供するGDN(Googleディスプレイネットワーク)は、Googleと提携する200万以上のウェブサイトやアプリ、YouTubeなどに広告を配信できるネットワークです。これはGoogle広告の一機能として提供されており、検索広告(Google検索結果に表示される広告)とは異なる配信チャネルとして位置づけられます。
GDNの特徴は、Googleの膨大なデータベースを活用した精度の高いターゲティングと、多様な広告フォーマットに対応している点にあります。画像広告・動画広告・レスポンシブ広告などを使って、ユーザーの関心や行動に合わせた広告展開が可能です。
リスティング広告は、ユーザーが検索エンジンに入力したキーワードに対して表示される広告で、顕在層をターゲットとした手法です。一方、GDNはユーザーのWeb閲覧中に広告を表示し、潜在層に向けたアプローチが可能です。よって、検索意図に基づく広告ではなく、「行動・興味・属性」に基づいて広告を出せる点が大きな違いです。
また、SNS広告(例:Facebook広告、X広告)はタイムラインなどのSNS内に配信されるもので、ユーザーの興味・関心データを活用したターゲティングが可能です。GDNも同様に興味関心ベースの広告配信ができますが、Googleアカウントに紐づく行動履歴やYouTubeの視聴履歴など、Google独自の膨大なデータを活用できるのが強みです。
GDN(Googleディスプレイネットワーク)の最大の強みは、その圧倒的な配信規模にあります。GDNでは、以下のようなメディアやサービスに広告を配信できます。
このようにGDNは、ユーザーのあらゆるデジタル接点に広告を届けることができるため、リーチ規模が非常に広く、特定ジャンルに限定されない柔軟なアプローチが可能です。
GDNでは、ユーザーが閲覧しているWebページやアプリの内容・文脈、ユーザーの属性や行動履歴に基づいて広告が自動的に最適配信されます。その仕組みは、以下3つの要素が連携して動作します。
GDNでは、「クリック課金(CPC)」または「インプレッション課金(CPM)」に基づいた入札方式が採用されており、配信の目的に応じて自動入札や手動入札を選択できます。
GDNでは、ユーザーの年齢・性別・興味関心・行動履歴・デバイス情報などを基に広告の配信対象を細かく指定できます。また、オーディエンスリストを活用してリマーケティング広告を配信することも可能です。
広告の配信は、設定されたターゲティングと入札条件、そしてクリエイティブの内容が総合的に評価されて決定されます。GoogleのAIがユーザーごとに最適な広告フォーマットや掲載面を選定するため、レスポンシブディスプレイ広告などの動的なクリエイティブが有効です。
この3要素が相互に連動することで、GDNはターゲットに最適化された広告を効率よく配信する仕組みを実現しています。
GDNの魅力の一つは、細分化された多彩なターゲティング手法です。目的や商品特性に応じて適切な手法を組み合わせることで、広告の効果を最大化できます。
Googleは膨大なユーザーデータを元に、広告の配信対象を詳細な属性単位で指定できます。以下の属性をベースにした絞り込みが可能です。
これらの属性情報は、特定のライフスタイル層や消費傾向を持つユーザーにピンポイントで広告を届けたいときに有効です。
GDNでは、ユーザーの興味関心や行動履歴に基づいたオーディエンスターゲティングが可能です。
これらの手法は、コンバージョン率を高めるための強力な選択肢です。
ユーザーではなく広告の表示場所を起点に絞り込むのが掲載面ターゲティングです。
表示される媒体やジャンルを制御したい場合に効果的です。
ターゲットの接触環境に応じてさらに詳細な絞り込みが可能です。
BtoB商材であれば平日の日中、BtoC商材であれば週末や夜間に最適化するなど、ターゲットの行動特性に合わせて調整できます。
GDN広告の運用にあたって、最も気になる要素の一つが「費用」に関する部分です。費用の発生タイミングや相場、費用対効果を正しく理解することで、より戦略的な運用が可能になります。
GDNでは、主に以下2つの課金方式が用意されています。
CPC(Cost Per Click)=クリック課金
ユーザーが広告をクリックしたタイミングで費用が発生します。クリックされなければ課金されないため、パフォーマンス重視型の広告(例:CV獲得・サイト誘導)に適しています。
CPM(Cost Per Mille)=インプレッション課金(1,000回表示あたりの費用)
広告が表示されるだけで費用が発生します。主に認知拡大やブランディング目的のキャンペーンで利用されます。
なお、Googleでは近年「vCPM(視認可能なインプレッション課金)」にも対応しており、**ユーザーが広告を視認できる状態(画面の50%以上が1秒以上表示)**で課金対象となる仕組みも導入されています。
GDNは少額からでも始められる点が特徴です。最低出稿金額は存在せず、1日数百円程度から運用をスタートできますが、成果を安定させるには一定の運用予算が必要です。
月額目安の一例(参考値)
また、効果測定の指標としては「ROAS(広告費用対効果)」がよく用いられます。目安としては以下のような基準が考えられます。
ただし、広告の目的(認知・集客・売上)によって評価基準は異なるため、自社の目標KPIと照らし合わせた評価が必要です。
GDNではさまざまな広告フォーマットが用意されており、配信面や目的に応じて柔軟に使い分けることが可能です。フォーマットごとの特徴と、推奨されるバナーサイズについて解説します。
レスポンシブディスプレイ広告は、Googleが推奨する形式で、見出し・説明文・画像・ロゴなどをあらかじめ設定しておくと、掲載面に応じて自動的に最適なレイアウトで表示される広告です。
主なメリットは以下のとおりです。
レスポンシブ広告は、初心者にも扱いやすく、特別なデザインスキルがなくても効果的な配信が可能です。
イメージバナーは、自社で作成した静止画(JPEG/PNG)やアニメーションGIF形式の広告素材をそのまま掲載するフォーマットです。
以下のような特徴があります。
アニメーションを用いたGIFは視認性が高く、ユーザーの注意を引きやすい一方、ファイルサイズやループ回数の制限に注意が必要です。
GDNでは多くのサイズがサポートされていますが、下記のサイズは特に表示機会が多く、推奨度が高いとされています。
複数サイズを用意することで、掲載面ごとの表示機会を逃さず、クリック率やインプレッションの最大化につながります。
GDN広告は、Google広告管理画面を通じて設定・入稿を行います。ここでは、基本的なキャンペーン作成の流れと、入稿時に注意すべきポイントを解説します。
Google広告の管理画面にログイン後、「+新しいキャンペーンを作成」を選択します。目的(例:ウェブサイトのトラフィック、販売促進、ブランド認知など)を選んだ後、「ディスプレイ」を選択すると、GDNキャンペーンの作成に進めます。
ここでの選択内容によって、利用可能な入札戦略やレポート内容が変わるため、事前に目的を明確にしておくことが重要です。
次に広告グループを作成し、ターゲティング設定を行います。ユーザー属性(年齢・性別など)、オーディエンス(興味関心・リマーケティングなど)、掲載面(プレースメント、トピックなど)を組み合わせて設定できます。
また、地域・デバイス・曜日などの配信条件もこの段階で設定可能です。ターゲティングの設計が成果を大きく左右する重要な工程となります。
最後に、広告素材を設定します。ここでは2つの選択肢があります。
レスポンシブディスプレイ広告
→ 見出し・説明文・画像・ロゴを登録。Googleが自動で最適化表示。
アップロード型バナー広告(画像/GIF)
→ 完成済みのバナー画像をアップロード。指定サイズに準拠する必要があります。
広告文の内容やビジュアルがターゲットの興味を引き、訴求内容が明確で一貫しているかどうかが成功の鍵となります。
広告を入稿する際には、いくつかのルールに従う必要があります。
文字数制限
画像ファイルサイズ
ブランドセーフティ
これらを適切に設定することで、品質スコアの低下や掲載停止のリスクを防ぎ、より多くのインプレッション機会を得ることができます。
GDN広告は配信の柔軟性が高い分、成果を適切に評価・改善しなければ、無駄な広告費を垂れ流すリスクもあります。ここでは、効果測定に役立つ主要KPIや、レポート活用方法、改善のポイントを解説します。
GDNでは以下の指標を中心に広告効果を把握します。
インプレッション数(表示回数)
広告がどれだけ表示されたか。認知拡大の指標として重要。
クリック率(CTR:Click Through Rate)
広告が表示されたうち、何%がクリックされたか。バナーや文言の魅力を測る。
コンバージョン率(CVR:Conversion Rate)
クリック後にどれだけ成果(問い合わせ・購入など)に繋がったか。
広告費用対効果(ROAS:Return On Ad Spend)
広告費に対してどれだけ売上を上げたか。収益性の評価に必須。
広告の目的(認知、興味喚起、購入)によって重視する指標が異なるため、目的に応じた指標設計を行うことが前提です。
Google広告では、管理画面上で詳細なレポートを閲覧可能です。以下のような視点で数値を確認しましょう。
広告フォーマット別の成果比較
レスポンシブ広告 vs 静止画バナーなどの効果比較
ターゲティング別の成果比較
オーディエンスごとにCTRやCVRを確認し、不要な層は除外設定
デバイス・地域・時間帯ごとの反応差
配信先の絞り込みや入札調整に活用
改善を進める際は、配信量が確保されている要素から優先してテストを行うと効率的です。A/Bテストの実施や、広告文・画像の差し替えを定期的に行いましょう。
GDN広告で思うような成果が出ない場合、次のような見直しが効果的です。
ターゲティングが狭すぎる/広すぎる
→ オーディエンスの再設計、除外設定の確認
クリエイティブが訴求力不足
→ 広告文やビジュアルを複数パターンで検証
遷移先LPとの整合性が低い
→ 広告で訴求している内容とLPの導線・メッセージが一致しているか確認
配信面に偏りがある
→ プレースメントレポートで掲載先を確認し、除外対象を設定
数値に表れた現象の「原因」を特定し、要素ごとに仮説・検証を繰り返すPDCA運用が、GDNの成果最大化につながります。
GDNは非常に広範なネットワークに広告を配信できる反面、不適切な媒体や意図しない掲載先に広告が表示されてしまうリスクも存在します。ブランドイメージを守りながら適切な配信を行うためには、配信コントロールの設定が重要です。
広告が掲載される具体的なサイトやアプリを確認し、望ましくない配信先を除外することで無駄な出稿やブランド毀損を防げます。
除外プレースメント
特定のURLやアプリIDを個別に指定して除外可能です。実際の配信レポートをもとに、クリック率やCV率が著しく低い配信先は随時ブロックします。
コンテンツ除外カテゴリ設定
Google広告では、以下のようなカテゴリを一括で除外する機能があります。
例:
- センシティブなソーシャル問題
- 成人向けコンテンツ
- 悲劇的な出来事
- ギャンブル・薬物関連
この設定を行うことで、ネガティブな印象を持たれる可能性のある掲載面への配信を回避できます。
GDNでは、特定ジャンルのメディアやページに配信される可能性があるため、下記の方法で不適切メディアの回避が可能です。
このようなコントロールによって、ブランドイメージとの乖離を防ぎつつ、配信の質を担保できます。
ブランドセーフティとは、広告が不適切なコンテンツや掲載面に表示されることを防ぎ、企業の信頼性を守るための施策です。
Google広告管理画面では、以下の手順でブランドセーフティ設定が可能です。
注意点としては、除外設定を広げすぎると配信機会が大幅に減少してしまう可能性があるため、成果を見ながらバランスよく調整することが求められます。
広告出稿を検討する際、GDNだけでなく、Yahoo!広告(YDA)や検索広告との違いを理解しておくことは非常に重要です。各媒体の特徴を把握することで、自社の目的に最適な選択が可能になります。
GDN(ディスプレイ広告)と検索広告は、配信の仕組みや狙うユーザー層が大きく異なります。
項目 | GDN | 検索広告 |
---|---|---|
配信面 | 提携サイト・YouTube・アプリ等 | Google検索結果ページ |
ユーザー層 | 潜在層へのアプローチが中心 | 顕在層(購買意欲が高い) |
広告形式 | 画像・動画・レスポンシブ | テキスト広告 |
ターゲティング | 興味・属性・行動ベース | キーワードベース |
GDNは「まだニーズが顕在化していない層」に訴求できるため、認知拡大や新規顧客開拓に強みがあります。一方、検索広告は「すでに情報を探しているユーザー」に対して表示されるため、コンバージョン率が高くなりやすいという特長があります。
YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)は、Yahoo! JAPANが提供するディスプレイ広告ネットワークで、GDNと同様にバナーや動画形式で広告配信が可能です。ただし、いくつか明確な違いがあります。
項目 | GDN | YDA |
---|---|---|
配信ネットワーク | Google提携メディア/YouTube/アプリ等 | Yahoo! JAPAN関連メディア/提携媒体 |
ターゲティング | Googleユーザーの行動・属性・YouTube視聴履歴等 | Yahoo! JAPAN上の行動履歴・検索履歴等 |
管理画面 | Google広告 | Yahoo!広告(別アカウント) |
GDNはGoogleの幅広いデータ(検索履歴、動画視聴、アプリ利用など)を活用できるのに対し、YDAはYahoo! JAPANを中心としたポータルサイトでの行動をもとにターゲティングを行います。
つまり、GDNはGoogleサービスを多用するユーザー層に強く、YDAはYahoo! JAPANユーザーにリーチしやすいといった傾向があります。ターゲット層や媒体利用状況に応じて使い分けることが重要です。
GDN(Googleディスプレイネットワーク)は多機能かつ高精度な広告配信が可能ですが、すべてのビジネスに万能というわけではありません。ここでは、GDNの活用における主なメリットとデメリットを整理します。
GDNは、ユーザーが検索行動を起こす前段階でも広告配信ができるため、潜在的なニーズを持つ層に早期アプローチできます。これにより、ブランド認知の拡大や、商材に対する検討促進に貢献します。
GDNでは、ユーザーの属性情報、興味関心、行動履歴、表示面など、きめ細かなターゲティングが可能です。目的に応じて最適な組み合わせができるため、無駄な広告配信を減らし、効率的なアプローチが実現します。
1クリックあたりの単価(CPC)は比較的安価で、少額からでもテスト配信が可能です。また、レスポンシブ広告を活用すれば、複数パターンのクリエイティブを一括で管理・改善できるため、PDCAを高速で回せるのも強みです。
検索広告とは異なり、GDNは即時性に欠ける傾向があります。ユーザーは広告を見てすぐ行動するとは限らないため、効果が出るまでには時間を要するケースが多く、中長期的な運用視点が求められます。
高価格帯や比較検討期間が長い商材では、GDN単体では成果につながりにくい場合があります。また、特定の属性層に強く訴求したい商材の場合、細かすぎるターゲティング設定によって配信ボリュームが確保できないこともあります。
GDNは多彩なターゲティングと柔軟な広告フォーマットを活かし、業種や目的を問わず幅広く活用されています。ここでは、具体的な2つの事例をもとに、その効果と成功のポイントを解説します。
成果:CTRが業界平均比 135%上回り、コンバージョン率 69.16%、CPCは業界平均より43セント安
戦略:旅行パートナーとの連携により、ニッチ旅行(スキューバダイビング)に興味のある層をGDNで精緻にターゲティングし、効率的にリードを獲得
この事例は、限られた予算でもターゲットセグメントを細かく設計することで高い成果を出せるという点で非常に参考になります。
成果:インテリアデザイン企業で40%のリード増加、限られた予算内で成果を最大化
戦略
インマーケット・類似オーディエンスなどを活用
検索キャンペーンを停止し、GDNにリソース集中
リマーケティング併用でCPA削減とCTR向上
この事例は、GDN単独で最大限のROIを追求する設計の一例として非常に示唆に富んでいます。
参考:Google Display Network Campaign: Definition, Setting Up Process and Case Studies
GDNを効果的に活用するには、単に広告を配信するだけでなく、戦略的な設計と継続的な改善が欠かせません。ここでは、成果を上げるために押さえるべき実践的なポイントと注意点を紹介します。
GDNでは多彩なターゲティングが可能ですが、目的に合った組み合わせを選定することが成果の鍵となります。
また、配信量を確保するためには、ターゲティングを絞り込みすぎないことも重要です。段階的に調整しながら反応を見る柔軟さが求められます。
広告の見た目とメッセージがユーザーの関心を引く内容であるかは非常に重要です。
また、複数パターンを用意してA/Bテストを行うことで、より効果の高い組み合わせを見つけることができます。
リマーケティングは、過去に自社サイトを訪問したユーザーへ再アプローチする手法で、CV率が非常に高いのが特徴です。
ユーザーの行動ステージに応じてリストを分け、シナリオに沿った再配信設計を行うことで、広告効果を大きく高められます。
広告のクリック先であるLPが、広告の内容と乖離していないかどうかは極めて重要です。よくある失敗例として、以下のようなものがあります。
広告とLPで伝えたいメッセージやデザイントーンを統一し、スムーズな情報導線を構築することがコンバージョン向上の鍵となります。
GDNは高い自由度と拡張性を持つ一方で、アカウント設計や運用体制が不適切だと成果が安定しづらく、管理工数も増加してしまいます。ここでは、成果を出しやすい広告運用の基本設計と、運用体制の考え方を解説します。
GDNにおけるアカウント設計の基本は、目的別・ターゲット別・配信面別に分けることです。
分け方 | 目的 | 例 |
---|---|---|
キャンペーン単位 | 目的・配信戦略別 | 認知拡大用・リマーケティング用・CV獲得用 など |
広告グループ単位 | ターゲットセグメント別 | 性別・年齢層・エリア・デバイス別など |
広告単位 | クリエイティブパターン別 | テスト用バナー、訴求軸別など |
このように構造を整理しておくと、成果分析やA/Bテストがしやすくなり、改善のスピードも向上します。
GDNの運用は、社内で行うべきか、広告代理店に依頼すべきか悩むケースも少なくありません。判断の基準となるのは以下の3点です。
判断軸 | 社内運用が向くケース | 代理店活用が向くケース |
---|---|---|
人材・知識 | 社内に専任の広告担当者がいる | ノウハウがなく学習コストが高い |
工数・体制 | 少額・限定的な広告配信を試したい | 複数媒体で中〜大規模運用を実施したい |
改善PDCA | 内製で高速に試行錯誤できる | 客観的な提案・レポートを求めたい |
代理店を活用する場合は、費用の透明性やレポーティング体制、運用実績などを確認しましょう。
GDNの運用では、初期設計から改善まで一貫したフロー管理が求められます。以下に一般的な運用プロセスと工数の目安を示します。
社内で対応する場合は、時間配分と体制確保を前提に計画を立てることが重要です。
GDNは単独でも高い効果を発揮しますが、他の広告チャネルと組み合わせることで、ユーザーの購買行動に沿ったマーケティング施策が実現できます。ここでは、代表的な組み合わせ施策とその相乗効果について解説します。
GDNで認知を広げた後、検索広告で刈り取るという連携は非常に効果的です。
この流れでは、GDNが購買ファネルの上流(認知・興味)を担い、検索広告が下流(比較・決定)を担うことで、成果の最大化を図ることができます。
YouTube広告(動画)とGDNの連携も、ブランド訴求と行動喚起の両立に効果的です。
ユーザーの接触頻度を高めることで、エンゲージメントを深めつつCVを促進できます。
各チャネルは以下のような役割の違いを持っています。
チャネル | 目的 | 主な効果 |
---|---|---|
GDN | 認知拡大/関心喚起 | 広範囲リーチ、クリック誘導 |
検索広告 | 顕在層の刈り取り | 高CV率、購買意図が明確 |
YouTube広告 | ブランド構築/感情訴求 | 高インパクト、印象強化 |
SNS広告 | 交流・話題化 | タイムリーな拡散、共感形成 |
GDN単体で完結させるのではなく、チャネルごとの強みを活かして全体設計を行い、成果を追跡できるタグやGA4などで一貫した効果測定体制を構築することが重要です。
GDNは進化を続けており、特にAI技術の活用やCookieレス環境への対応が今後の運用に大きな影響を与えます。ここでは、今後押さえておくべき3つの重要トピックを解説します。
近年、Google広告ではAIによる自動化機能が急速に進化しています。GDNにおいても、以下のような自動最適化機能が重要度を増しています。
これらの機能は、運用工数を抑えながら成果を安定させる効果がある反面、精度を担保するには十分な学習期間と配信量が必要です。初期は結果を急がず、一定期間のデータ蓄積を見込んだ設計が求められます。
プライバシー規制の強化により、サードパーティCookieの廃止が進んでいます。これにより、従来のリマーケティング広告は制限され、GDN運用にも影響が及びます。
対応策として注目されているのが
今後は、個人を特定しない形でのターゲティング精度維持が求められ、技術的な理解やツール対応も重要なテーマとなります。
Googleは「ユーザー中心・プライバシー重視・AI自動化」を軸に、広告プラットフォームを再構築しつつあります。GDNにおいても、以下のような変化が予測されます:
これらの流れに対応するには、「設定の上手さ」だけでなく、顧客理解・戦略設計・検証体制の構築が今後さらに重要になります。
GDN(Googleディスプレイネットワーク)は、潜在層へのアプローチが可能な強力な広告プラットフォームです。検索広告やSNS広告とは異なる特性を持ち、認知獲得・関心喚起・再アプローチまで、幅広い目的に対応できます。
効果的にGDNを活用するためには、以下の流れを意識することが重要です。
また、媒体選定の観点では、GDNだけに頼らず、検索広告やYDA、SNS広告と組み合わせて施策全体を設計する視点も欠かせません。商材特性やターゲットユーザーの行動特性に応じて、適切な配分と役割分担を考えることが、広告全体のパフォーマンス最大化につながります。
GDNは設定の自由度が高いため、初期の設計次第で成果が大きく変動します。正しく理解し、戦略的に活用することで、自社のマーケティング施策をさらに一段階引き上げることができるはずです。
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監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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