動的リマーケティングとは?通常のリマーケティングとの違いやメリット、配信手順などについて解説

更新日: 2025.10.17

あなたのWebサイトを訪れたユーザーが、商品ページを見たにもかかわらず購入せずに離脱してしまう。そんな経験はありませんか?マーケティング担当者であれば、一度は直面する悩みではないでしょうか。離脱したユーザーに対して再度アプローチできれば、機会損失を最小限に抑えることができます。

そこで注目されているのが「動的リマーケティング広告」です。これは、ユーザーの閲覧履歴や行動データに基づいて、自動で最適な広告を表示できる手法で、ECサイトやサービス紹介ページなど幅広い業種で成果を上げています。特にCVR(コンバージョン率)やROAS(広告費用対効果)の向上に貢献する点が高く評価されています。

本記事では、動的リマーケティング広告の仕組みや通常のリマーケティングとの違い、活用のメリット・デメリット、導入に必要なステップ、そして運用時のポイントまで、実務的な視点で徹底解説します。

動的リマーケティング広告とは

動的リマーケティング広告とは、過去に自社サイトを訪れたユーザーの行動データを活用し、そのユーザーに最適化された広告を配信する仕組みです。特に、ユーザーが閲覧した商品やサービスの情報を広告クリエイティブに自動で反映できる点が大きな特徴です。

通常のリマーケティング広告では、一律の広告バナーやテキストが表示されます。しかし動的リマーケティングでは、ユーザーごとに異なる広告がリアルタイムで生成され、個別の商品情報や価格、画像などが自動で挿入されます。これにより、ユーザーが過去に興味を示したコンテンツへの再アプローチが可能となり、広告の関連性と訴求力が大幅に向上します。

この手法は主に、ECサイトや不動産、旅行、求人など、複数の商品やサービスを扱う業種に向いています。Google広告やFacebook広告などのプラットフォームを通じて配信が可能で、商品フィードと呼ばれるデータベースと連携させることで、効率的かつ精度の高い配信が実現できます。

リマーケティング広告との違い

リマーケティング広告は、過去に自社サイトを訪れたユーザーに対して再度広告を表示する手法ですが、基本的には静的な広告バナーや共通メッセージを使用します。一方、動的リマーケティング広告は、ユーザーが閲覧した商品やページ内容に応じて広告内容が自動で変化する点が最大の違いです。

例えば、ECサイトでAさんが「白いスニーカー」を閲覧した場合、動的リマーケティングではその商品画像と価格が反映された広告がAさんに配信されます。これにより、広告のパーソナライズ度が高まり、再訪や購入を促しやすくなります。より高い成果が見込める広告手法といえるでしょう。

どのような仕組みで動くのか

動的リマーケティング広告は、主に「タグ」「商品フィード」「広告テンプレート」の3要素で構成されます。まず、Webサイトに専用のタグを設置することで、ユーザーが閲覧した商品やページ情報を取得します。次に、商品情報(商品名、価格、画像URLなど)をまとめた商品フィードを用意し、広告プラットフォームと連携させます。

このデータを元に、広告テンプレート内に動的な情報が自動挿入され、ユーザーごとに最適な広告が生成されます。広告配信時は、ユーザーの行動履歴を元に関連性の高い内容がリアルタイムで表示されるため、高いクリック率やコンバージョンが期待できます。

対応する主要広告媒体

動的リマーケティング広告は、複数の広告プラットフォームで利用可能ですが、代表的なのはGoogle広告とFacebook広告(およびInstagram)です。それぞれ特性や設定方法が異なるため、自社の目的やリソースに合わせて選定・導入することが重要です。

Google広告での動的リマーケティング

Google広告では、Googleディスプレイネットワーク(GDN)を通じて動的リマーケティングが可能です。商品やサービスに関する情報を「商品フィード」としてGoogle Merchant Centerまたはビジネスデータフィードに登録し、サイト上のユーザー行動をトラッキングする「リマーケティングタグ(またはグローバルサイトタグ)」を設置することで、動的に広告が生成されます。Googleの膨大な広告ネットワークを活かせるため、幅広いターゲットへのアプローチが可能です。

Facebook/Instagram広告の対応状況

Facebook広告では「ダイナミック広告(Dynamic Ads)」として提供されています。Facebookピクセルを用いてユーザーの行動を記録し、Facebookカタログに登録された商品データと連携させることで、個別ユーザーに最適化された広告が自動で生成・配信されます。Instagramでも同様の形式で表示されるため、ビジュアル訴求に強みを持つ商材では特に効果が期待できます。

その他の対応プラットフォーム

LinkedIn、Pinterest、Criteoなど、他の広告プラットフォームでも動的リターゲティングに近い広告配信が可能です。特にCriteoは動的リマーケティングに特化したソリューションを提供しており、ECサイトとの相性が良いとされています。

動的リマーケティング広告のメリット

動的リマーケティング広告は、単なる再アプローチにとどまらず、高度なパーソナライズと広告効果の最適化を実現する手法です。以下の3つの視点から、その主なメリットを解説します。

ユーザーごとの最適な広告表示

動的リマーケティングの最大の強みは、ユーザーの興味・関心に基づいて広告をカスタマイズできる点です。過去に閲覧した商品や類似アイテムが自動で広告に反映されるため、表示された瞬間にユーザーの関心を引くことができます。結果として、クリック率(CTR)やエンゲージメントの向上が期待できます。

CVR・ROASの向上

ユーザーのニーズに即した広告表示は、購入や問い合わせといったコンバージョンにも直結します。特にECサイトや不動産サイトなどでは、広告に表示された商品がそのまま購入されるケースも多く、コンバージョン率(CVR)や広告費用対効果(ROAS)の改善に大きく貢献します。

広告運用の効率化

一度商品フィードやタグを整備すれば、多数の商品・サービスを自動で広告化できるため、大規模な商品点数を扱う企業にとっては運用負荷を大幅に軽減できます。更新作業も自動化されており、人的ミスのリスクも低減されます。

デメリットと注意点

動的リマーケティング広告には多くのメリットがありますが、導入や運用にはいくつかの注意点やデメリットも存在します。成功させるためには、これらの点を事前に理解し、適切に対処することが重要です。

導入ハードルが高い(タグやフィード)

動的リマーケティングの実施には、Webサイトに専用のタグを設置し、かつ商品フィードを作成・登録する必要があります。特に商品点数が多いECサイトでは、フィードの整備や更新作業に手間がかかります。また、タグの設定ミスがあると広告が正しく配信されない可能性があるため、開発やマーケティングの連携が欠かせません。

業種によっては効果が出にくい

すべてのビジネスに動的リマーケティングが適しているわけではありません。例えば、BtoBや単品サービスなど、ユーザーが一度に複数の商品を比較しないケースでは、通常のリマーケティングのほうが効果的な場合もあります。自社の商材特性に応じた使い分けが求められます。

広告のクリエイティブ制御が難しい

動的広告はテンプレートに基づいて自動生成されるため、デザインやメッセージ性を細かくコントロールすることが難しいという課題もあります。ブランドイメージを重視する企業や、表現にこだわりたい場合には、動的生成された広告の見え方に不満を感じることもあるでしょう。

導入に必要な準備

動的リマーケティング広告を始めるには、いくつかの技術的・運用的な準備が必要です。特に重要となるのが、「商品フィードの整備」「タグの設置」「広告アカウント内の初期設定」の3点です。それぞれのポイントを具体的に解説します。

商品フィードの準備方法

商品フィードとは、広告に表示される商品情報をまとめたデータファイルです。Google広告の場合はMerchant Centerに登録し、Facebook広告ではカタログマネージャを使用します。フィードには商品名、価格、画像URL、在庫状況、商品ページのURLなどが含まれ、正確かつ最新の情報が反映されている必要があります。

スプレッドシートやCSVファイルで作成することが一般的ですが、商品数が多い場合は、ECサイトと連携して自動更新する仕組みを構築するのが望ましいでしょう。フィードの構造や命名ルールは各プラットフォームで異なるため、公式の仕様を事前に確認することが重要です。

タグの設置と確認方法

ユーザーの行動データを取得するために、Webサイトに専用のタグ(GoogleタグやFacebookピクセル)を埋め込む必要があります。これにより、ユーザーが閲覧した商品情報やイベント(カート追加、購入完了など)を正確に把握できます。タグの実装後は、デバッグツール(例:Googleタグアシスタント、Facebookピクセルヘルパー)で正常に動作しているかを必ず確認しましょう。

最低限の設定項目

商品フィードとタグの準備が完了したら、広告管理画面で動的リマーケティング用のキャンペーンを作成します。この際、動的広告のテンプレート選択や、対象となるオーディエンスの設定、使用するフィードの指定など、複数の設定項目を正しく選択する必要があります。設定ミスがあると広告が配信されないため、手順を一つひとつ丁寧に確認しましょう。

配信の設定手順

Google広告を使って動的リマーケティングを配信するには、いくつかのステップに沿って設定を行う必要があります。ここでは、実際の運用を想定して、基本的な流れを解説します。

キャンペーン作成の流れ

まずGoogle広告の管理画面にアクセスし、「新しいキャンペーンの作成」をクリックします。目的は「販売促進」や「ウェブサイトのトラフィック」を選び、キャンペーンタイプは「ディスプレイ」を指定します。
その後、動的広告を使用するかどうかの選択肢が表示されるため、「動的広告を使用する」にチェックを入れ、Google Merchant Center に連携している商品フィードを選択します。これで広告がユーザーの行動に応じて自動生成されるようになります。

ターゲットセグメントの設定

動的リマーケティング広告は、あらかじめ作成された「オーディエンスリスト」に基づいて配信されます。これには、「カートに商品を入れたが購入していないユーザー」「特定カテゴリの商品を閲覧したユーザー」など、ユーザー行動に応じたセグメントを作成・選択することができます。精度の高いターゲティングによって、より高いCVRが期待できます。

広告クリエイティブの作成

Google広告では「レスポンシブディスプレイ広告」を活用することで、テキストや画像、ロゴ、CTA(行動喚起)などを登録しておけば、自動的に最適な組み合わせが生成されます。動的リマーケティングでは、商品画像や価格などが自動挿入されるため、ユーザーにとって非常に関連性の高い広告が表示されます。

以上で、Google広告を用いた動的リマーケティング広告の基本的な配信設定は完了です。

成果が出る運用のポイント

動的リマーケティング広告は、設定しただけで成果が出るわけではありません。継続的な改善とデータ分析に基づく運用が求められます。以下に、特に重要な3つの運用ポイントを紹介します。

A/Bテストとフィード最適化

広告の成果を最大化するには、複数のクリエイティブを用意してA/Bテストを実施することが効果的です。見出しやCTA文言、ロゴや補助画像などを変えながら比較検証することで、どの要素が効果的かが明確になります。また、商品フィードに登録するデータも定期的に見直し、商品名の表記揺れや画像の質などを改善することで、広告の魅力を高められます。

オーディエンスセグメントの見直し

初期設定のままでは、広すぎるターゲットに配信されてしまう可能性があります。定期的にユーザーリストを分析し、「購入直前で離脱したユーザー」や「高単価商品の閲覧者」など、コンバージョン確度の高い層に絞ると、CPA(顧客獲得単価)の最適化が図れます。

配信タイミングの最適化

ユーザーが商品に興味を持ったタイミングを逃さずに再アプローチすることも重要です。例えば、閲覧から24時間以内に広告を配信する設定にするなど、タイムリーな広告表示がコンバージョン率向上に繋がります。過去データを分析し、最も成果の出やすい時間帯や曜日を特定することも効果的です。

効果測定と改善方法

動的リマーケティング広告の効果を最大化するためには、定期的な効果測定と改善のサイクルを回すことが欠かせません。以下では、具体的な指標の確認方法や、成果が出ない場合の対処法について解説します。

主要な指標の確認方法(CVR、ROASなど)

広告成果を評価する上で重要なのは、コンバージョン率(CVR)広告費用対効果(ROAS)です。これらはGoogle広告やFacebook広告の管理画面から確認できます。加えて、クリック率(CTR)やインプレッション数、エンゲージメント率などの指標も併せて確認することで、広告のどの部分が機能しているかが見えてきます。

成果が出ない場合の原因分析

期待していた成果が出ない場合、主な原因は以下の3つです。

  • タグの設置不備によりユーザーデータが正しく取得できていない
  • フィードの情報が不完全または更新されていない
  • ターゲット設定が広すぎる/不適切

これらの問題があると、広告の精度が低下し、費用対効果も悪化します。

改善アクションの具体例

原因を特定したら、改善アクションに移ります。たとえば、フィード内の商品タイトルをより具体的に変更する、画像の解像度を上げる、ユーザーセグメントを再構築するなどが有効です。また、パフォーマンスの高い広告要素を見つけて他の広告にも反映させることで、全体の最適化が進みます。

動的リマーケティング広告が向いている業種・ビジネス

動的リマーケティング広告は、すべてのビジネスに適しているわけではありません。特に効果が高いのは、「複数の商品やサービスを扱っており、かつユーザーが比較・検討する傾向が強い業種」です。

代表的な例としては、以下のような業種が挙げられます。

  • ECサイト(アパレル、家電、日用品など)
    多くの商品点数を扱い、ユーザーが複数の商品を閲覧するため、個別商品に対して動的広告が有効です。

  • 旅行・宿泊予約サービス
    閲覧されたホテルやプラン、出発地などの条件に応じてカスタマイズされた広告を配信できます。

  • 不動産情報サイト
    物件情報を個別に動的に表示できるため、検討中ユーザーへの再アプローチに効果的です。

  • 求人・転職サイト
    ユーザーが見た求人情報を再表示することで、応募率の向上が期待できます。

一方で、商品点数が少ない単品通販や、BtoBで検討期間が長い商材では、通常のリマーケティングの方が適している場合もあります。

まとめ

動的リマーケティング広告は、ユーザーの行動データを活用して個別に最適化された広告を配信できる、非常に効果的なマーケティング手法です。特にECサイトや旅行、不動産、求人といった、複数の商品・サービスを扱う業種においては、高いCVRやROASが期待できます。

一方で、導入には商品フィードやタグの設定といった技術的な準備が必要であり、運用段階でもデータの分析や改善の継続が欠かせません。しかし、正しく導入・運用できれば、自社の広告効果を飛躍的に高めることが可能です。

本記事で紹介した仕組みや導入ステップ、活用ポイントを参考に、貴社のマーケティング施策として動的リマーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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監修者プロフィール

平岡 悟

平岡 悟

株式会社センタード 代表取締役

WEBマーケティング歴25年。セプテーニとSBIホールディングスのJVでの金融広告事業をはじめ不動産・人材・旅行・化粧品等多業界広告での経験を経て2010年に株式会社センタードを設立。クライアントワークでWEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの改善設計まで、自社ではSFA/MAを活用したインバウンドマーケティングからインサイドセールスまでを統括。現在も実践の最前線でAIでWEBマーケティングを最適化しサービス強化。1,300社以上の実績と顧客満足度96%、顧客推奨度90%を実現。
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よくある質問

  • Q1動的リマーケティング広告の導入には専門知識が必要ですか?

    A.最低限のWeb広告やタグの知識は必要ですが、Google広告やFacebook広告にはガイドが整備されており、手順通りに進めれば初心者でも設定可能です。技術的な部分は制作・開発部門と連携するとスムーズです。

  • Q2商品点数が少ないサイトでも活用できますか?

    A.商品点数が少ない場合、動的リマーケティングの効果は限定的になることがあります。そうした場合は、通常のリマーケティング広告や手動で設定する広告が適している場合もあります。

  • Q3広告が自動で作られると、ブランドイメージが崩れませんか?

    A.広告テンプレートのデザインはある程度カスタマイズが可能です。ブランドカラーやロゴを設定することで、一定のトーン&マナーは維持できます。

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