更新日: 2024.10.31
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスと関わる一連のプロセスを視覚化したものです。
カスタマージャーニーマップを利用すれば、顧客に対する理解が深まり、今までに見えてこなかった課題の発見が可能です。
しかし、初めてカスタマージャーニーマップを作成する場合、正しい作り方がわからない方も多いでしょう。
本記事は、以下のような方を対象としています。
カスタマージャーニーマップとは何かを知りたい方
カスタマージャーニーマップの作り方に悩んでいる方
カスタマージャーニーマップの成功・失敗事例から学びたい方
カスタマージャーニーマップの目的と種類、作り方や成功・失敗事例を解説しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
カスタマージャーニーマップを理解するためには、カスタマージャーニーとは何かを説明した方がわかりやすいでしょう。カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスと関わる一連の流れを旅にたとえたものです。
そして、カスタマージャーニーを視覚化したものがカスタマージャーニーマップになります。
参考:カスタマージャーニーとは|メリットやマップの作り方・活用事例について解説 | DMMチャットブーストCV
カスタマージャーニーマップを作成すれば、顧客に対する理解が深まり、今までに見えてこなかった課題を発見できます。
カスタマージャーニーマップの作成により、顧客の動きや思考を予測する精度が上がるため、自社商品の売上向上につながりやすいです。
くわえて、施策の優先順位を決める際にも役立ちます。カスタマージャーニーマップは、全体を俯瞰しつつ顧客が抱える問題の視覚化ができるため、解決しなければならない項目の洗い出しが可能です。
例えば、マーケティングチーム全体の意思疎通や共通目的を持つのにも役立つため、外注先や他部署とのコミュニケーションも円滑になります。
カスタマージャーニーマップは大きくわけて「タイムライン型」「ホイール型」「スペース型」の3種類があります。
種類 | 特徴 | 用途 |
タイムライン型 | ・消費者行動を時系列に表示 ・もっとも一般的な型 ・「マクロ型」「ミクロ型」「シナリオ型」の3種類に分類される |
・マクロ型 商品やサービスの課題がどこにあるのか、大まかに見極める ・ミクロ型 顧客の体験からボトルネックになっているものを洗い出す ・シナリオ型 顧客育成シナリオの策定 |
ホイール型 | ・円形の型 ・円の中心にペルソナ情報、円の周りに消費者行動を記載 ・サークル型とも呼ばれる |
繰り返し利用する商品やサービスの課題抽出 |
スペース型 | ・消費者行動を地図上に記載する型 ・マップ化が可能 |
移動する商品やサービスの課題抽出 |
カスタマージャーニーマップは種類によって目的や特徴が異なるため、自社の商品やサービス、ターゲット設定に応じた型を選択しましょう。
次に、成功するためのカスタマージャーニーマップの作成方法5ステップを解説します。
ステップ1:ペルソナの設定
ステップ2:顧客接点の洗い出し
ステップ3:顧客の行動、思考、感情の可視化
ステップ4:カスタマージャーニーマップの作成
ステップ5:分析と改善
カスタマージャーニーマップの作り方を正しく理解すれば、より課題を見つけやすくなります。自社にあったマーケティング施策を打ちたい方は、ぜひ参考にしてください。
まずは、ペルソナを設定します。
ペルソナとは、商品やサービスを提供する際、どのような顧客に向けたものか、具体的な人物像を設定することを指します。
ペルソナは、年齢や性別、趣味といった属性をできる限り具体的に設定し、商品購入までの経緯をしっかり盛り込むのが重要です。
「どのような商品が好みか」「どういった問題を抱えているのか」など、より具体的にイメージできるよう、ペルソナをしっかりと設定しましょう。
顧客接点はタッチポイントとも呼ばれ、顧客の行動や感情を考えるためには重要です。
顧客接点を洗い出す際には、現状と理想をしっかりと分けて考え、現在の状況に対して、改善策を立てましょう。
また、売り手の目線や社内の情報だけでは見落としやすい接点があるかもしれません。
より幅広く洗い出すためには、後述するステップ3と一緒に実施するほうが整理しやすい場合もあるため、覚えておくとよいでしょう。
顧客接点の洗い出しが終わったら、顧客の行動や思考、感情を可視化します。
内容は想像でも問題ありませんが、より具体的で生の声に近いものにするのが重要です。
実際の行動や思考から大きくズレてしまうと、課題や施策が的外れになってしまうため注意しましょう。
アンケートやヒアリングを活用して、顧客への理解度を高めるのがおすすめです。
ステップ3まで終了したら、カスタマージャーニーマップを作成していきます。
顧客の気持ちが変わった要因や行動の変化を時間軸で整理し、カスタマージャーニーマップに記載していきます。
作成の際は誰が見てもわかりやすいよう、「顧客接点を図で表す」「感情の起伏をグラフで作成する」のが大切です。
社内のチーム員や外注先との意思疎通を円滑にするためにも、わかりやすいカスタマージャーニーマップの作成は必要不可欠といえます。
カスタマージャーニーマップは作成したら終わりではなく、継続的な分析と改善が必要となります。
カスタマージャーニーマップが正しく活用できているか分析するためには、KPI設定が必須です。設定したKPIと成果を照らし合わせることで、顧客の気持ちや行動が変化したことを察知できます。
そのため、消費者行動を分析すれば、マーケティングの改善策も浮かびやすくなります。
また、改善策を練るにはPDCAサイクルを回すのが大切です。継続的にサイクルを回せば、課題や施策のブラッシュアップが図れます。
ここでは、カスタマージャーニーマップの成功例を紹介します。
事例①:顧客行動・感情の具体化(曲やプレイリストの共有機能追加)
事例②:3通りのペルソナ設定(モバイル決済アプリの改善)
どちらの事例も、解像度の高い顧客像が作れている点が成功の秘訣です。
こちらの事例は、新たに共有機能を追加する際、どのような改善点があるのか洗い出すためにカスタマージャーニーマップを活用しました。
聴いた曲を友人と共有する経緯がまとめられており、顧客接点や感情の起伏を具体的に記載しました。くわえて、ペルソナを設定する際、顧客へのインタービューや競合分析の結果を活用しているため、顧客像の解像度アップにつながっています。
音楽共有が顧客に与える影響を明確化することで、具体性が増し、課題が抽出しやすくなった事例です。
こちらは、モバイル決済アプリが低評価である理由を見つけるために、カスタマージャーニーマップを活用した成功事例です。
顧客への解像度を上げるため、3通りのペルソナを設定し、課題の洗い出しを徹底的に実施しており、顧客の感情起伏をグラフでわかりやすく記載しました。
万遍なく課題を洗い出した結果、「店舗」「支払い」「利用者登録」に課題があるのを発見しました。課題に対して、アプリ上で店舗の込み具合を確認できる機能の追加、支払い方法や利用者登録の簡略化を実施した結果、問題解決につながった事例です。
成功した事例がある一方で、失敗例もあります。
ターゲットの設定ミス
顧客の行動や思考への知見不足
カスタマージャーニーマップ作成時はペルソナの設定が必須ですが、顧客像が具体的ではなかったり、定義づけができていなかったりすると、ペルソナへの落とし込みが難しくなります。
顧客像がぼやけてしまうと、実際の顧客がとる行動や思考との乖離が発生してしまうため、売上につながらない可能性が高いです。
また、顧客目線での課題の洗い出しができていなければ、売り手側の願望を一方的に押し付ける施策になってしまうことにも注意しましょう。
カスタマージャーニーマップを作る際は、顧客の不満を解決する施策をうまく打てるよう顧客目線での作成が必要です。
最後に、無料で利用できるおすすめの作成ツールを5つ紹介します。
作成ツール | テンプレートの種類 | フォームへの入力事項 |
HubSpot | 7種類 | ・氏名 ・メールアドレス ・会社情報 |
INNOVA | 2種類 | ・氏名 ・メールアドレス ・会社情報 |
bizocea | 2種類 | ・メールアドレス |
ferret | 1種類 | ・メールアドレス |
MIERUCA | 2種類 | ・氏名 ・メールアドレス ・会社情報 |
「HubSpot」は、7種類のテンプレートから目的にあったものを選びやすいのが特徴です。作成手順の掲載もあるため、基本的なポイントを押さえつつ、実践的なマップが作成できます。
「INNOVA」はBtoB向けとEC事業向けがあり、記入サンプルも記載されているため、初めてマップを作成する方でもスムーズに作れます。
「bizocean」は汎用型のテンプレートのため、適応範囲が広く、見える化しやすいのが特徴です。PowerPointのテンプレートは、企画書や提案書にそのまま添付できる点も魅力です。
その他、シンプルなフレームで顧客の大まかな課題を理解した場合に適している「ferret」やペルソナシートのテンプレートや、より具体的に人物像を設定できる「MIERUCA」もあります。
作成ツールを利用すれば、マップ作成にかかる工数を削減でき、マーケティング施策の効率化につながります。
今回は、カスタマージャーニーマップを作成する目的や種類、作り方や成功・失敗事例を解説しました。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを利用する経緯をまとめ、視覚化したものです。
カスタマージャーニーマップを作成すれば、顧客課題の見える化ができ、作成ツールを使用すれば、マーケティング施策の効率化を図れます。
また、成功・失敗事例から学ぶことで、より自社に合ったものを作成できるでしょう。
しかし、カスタマージャーニーマップを作成する際、課題の抽出や注意点がわからなければ目指す方向性を間違えてしまい、余計にコストがかかってしまいます。
プロに相談し、適切なマーケティング施策を打つことがビジネス成功への近道です。
現在デジタルマーケティングにおいてお悩みがある方や、
課題を感じているがどうしていいかわからない方向けに
無料でご相談会を実施しております。
まずは自社の現状を知り、可能な改善施策はどういったものがあるのか、
スケジュール、予算感はどのようなものなのか等も含めて
ご説明しますので、お気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
木島 怜史
株式会社センタード WEBマーケティング本部 エキスパート
前職のWEB営業経験を経て、株式会社センタード入社。現在WEBマーケティング本部にて技術統括。 WEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの課題抽出・改善立案までを管轄。 顧客目標としてWEBの目標達成はあくまで通過点と捉え、部分最適化、全体最適化を経てビジネス改善を目指す。 Web Designing誌に「ユーザーの行動特性を捉えたイベント集客施策」「Web戦略全体の視点から広告予算を考察」など寄稿。 「WEB改善の流れがわかる!目標設定とPDCAの考え方講座」など多数のセミナー講師も務める。 ウェブ解析士、GAIQ、Google広告等各種資格保有。業界歴10年以上。
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