SNS広告とWEB広告の違いと使い分けポイントを解説

更新日: 2025.09.25

企業や個人がデジタル広告を活用する際に、必ずといってよいほど耳にするのが「SNS広告」と「WEB広告」です。どちらもインターネット上でユーザーにリーチする手法ですが、その仕組みや得意とする領域は大きく異なります。たとえば、SNS広告はInstagramやX、TikTokといったプラットフォームでユーザーの関心や嗜好に基づいて配信され、拡散力やブランド認知に強みがあります。一方でWEB広告は検索結果やWebサイトに表示され、購買意欲が高いユーザーに効率的にアプローチできるのが特徴です。

しかし「自社のサービスにはどちらが向いているのか」「費用対効果に違いはあるのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。本記事では、SNS広告とWEB広告の違いをわかりやすく解説するとともに、それぞれのメリット・デメリット、目的に応じた使い分けポイントを具体的に紹介します。読み進めることで、自社のマーケティング戦略にどの広告手法を選ぶべきか判断できるようになります。

SNS広告とWEB広告の基本的な定義

SNS広告とは何か

SNS広告とは、Instagram・X(旧Twitter)・Facebook・TikTok・LinkedInなどのソーシャルメディア上に配信される広告を指します。これらはユーザーが登録した属性情報や日々の行動履歴をもとに、興味関心が高そうな層へ表示される仕組みを持っています。特徴的なのは「つながり」や「共感」をベースにした拡散性の高さです。ユーザーが広告に「いいね」や「シェア」をすることで、広告が二次的・三次的に広がる可能性があります。視覚的な訴求力を持つ画像や動画フォーマットが主流で、ブランド認知やファン形成を目的とした企業に多く利用されています。

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WEB広告とは何か

WEB広告とは、検索エンジンや各種Webサイト上に掲載される広告全般を指します。代表的なものにはGoogle検索結果に表示されるリスティング広告、ニュースサイトやブログに表示されるディスプレイ広告などがあります。大きな特徴は「検索意図に沿った広告配信」が可能な点です。たとえば「化粧水 おすすめ」と検索したユーザーに対して関連商品の広告を表示でき、購買意欲の高い層に直接アプローチできます。クリック課金型が一般的で、成果を数値化しやすいのもWEB広告の強みです。

SNS広告とWEB広告の関係性

SNS広告とWEB広告は、ともにインターネットを活用したデジタル広告に分類されますが、利用シーンや得意分野は異なります。SNS広告は「ユーザーの関心やライフスタイルに寄り添う広告」、WEB広告は「検索や行動から直接ニーズを捉える広告」と整理できます。両者は競合関係ではなく、目的に応じて併用することでより高い効果を発揮する補完的な存在です。

SNS広告とWEB広告の主な違い

ターゲティング精度の違い

SNS広告の大きな強みは、ユーザーの属性情報や行動データに基づいた精密なターゲティングです。年齢・性別・居住地といった基本情報に加え、フォローしているアカウントや過去の閲覧・いいね履歴から興味関心を細かく絞り込めます。そのため「ファッションに関心のある20代女性」「転職を検討しているビジネスパーソン」といったセグメントに効果的に配信可能です。一方WEB広告は、検索キーワードや閲覧履歴に基づくターゲティングが中心です。購買意欲が顕在化しているユーザーを捉えやすい点で優れていますが、潜在的な層へのリーチはSNS広告ほど柔軟ではありません。

広告フォーマットの違い

SNS広告では、写真・動画・ストーリーズ・カルーセルなど多彩なフォーマットが用意されており、自然な形でタイムラインに表示されます。特に動画はエンゲージメントを高めやすく、ブランドイメージ訴求に適しています。対してWEB広告は、検索結果に表示されるテキスト広告や、Webサイトに表示されるバナー広告が中心です。ユーザーが情報を探している最中に表示されるため「必要性がある人」に届きやすいのが特徴です。フォーマットの自由度ではSNS広告に軍配が上がりますが、即効性ではWEB広告が優れています。

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ユーザー接触タイミングの違い

SNS広告は、ユーザーがSNSを利用している時間に自然に流れてくるため「偶発的な出会い」を演出できます。これにより潜在ニーズを刺激し、興味を喚起しやすくなります。一方WEB広告は、ユーザーが能動的に検索した瞬間に表示されるため「今すぐ解決したい課題」を抱えた層に的確にアプローチできます。この接触タイミングの違いが、広告戦略全体における使い分けの大きな鍵となります。

運用方法と効果測定の違い

SNS広告は、エンゲージメント(いいね・シェア・コメント)やフォロワー数の増加といった指標も重要になります。そのため数値評価に加え、ブランド浸透度やコミュニティ形成の視点で効果を測る必要があります。WEB広告はクリック率・コンバージョン率など定量的なデータで評価されやすく、ROIを算出しやすい点が特徴です。運用リソースの観点では、SNS広告はクリエイティブ制作力、WEB広告はキーワード選定と入札管理力が求められます。

費用の違いと予算の考え方

SNS広告の費用相場

SNS広告は、1クリックあたりの単価(CPC)や1,000回表示あたりの単価(CPM)で費用が発生する運用型広告が主流です。一般的なCPCは50円~200円前後で、媒体やターゲティング条件によって大きく変動します。特にInstagramやTikTokは若年層の利用が多いため競争率が高く、クリック単価が上がりやすい傾向にあります。また、動画広告やリール広告は制作コストが追加で発生する点にも注意が必要です。少額から出稿可能で、数千円単位でテスト運用を行える柔軟性があるため、中小企業や個人事業主にも利用しやすいのが特徴です。

WEB広告の費用相場

WEB広告は、特にリスティング広告の費用が「検索キーワードの競争度」に大きく左右されます。一般的なクリック単価は100円~300円程度ですが、金融・不動産・人材といった競争の激しい業界では1クリック数千円に達するケースもあります。ディスプレイ広告の場合はCPM課金が主流で、1,000回表示あたり数百円~1,000円程度が相場です。こちらも配信先のメディアやターゲティングの詳細条件によって変動します。大規模な集客を狙う場合は一定以上の予算を確保する必要がありますが、ニッチな分野では比較的低コストで成果を得やすいのも特徴です。

コストパフォーマンスの比較

SNS広告は少額から始めやすく、エンゲージメントや認知拡大に適している一方で、直接的なコンバージョン率はWEB広告より低い傾向にあります。WEB広告は即効性があり購入や資料請求といった成果に直結しやすい反面、クリック単価が高騰しやすいため業界によっては費用負担が大きくなります。したがって、目的が認知か顧客獲得かによって、どちらを優先するかが変わってきます。

目的別に見る使い分けのポイント

ブランド認知を高めたい場合

ブランドの存在を広く知ってもらいたい段階では、SNS広告が有効です。SNSは拡散性が高く、広告がユーザーによってシェアされることで自然にリーチが広がります。画像や動画を活用することで、視覚的に印象を残しやすいのも強みです。特にInstagramやTikTokの動画フォーマットは、短時間でブランドイメージを訴求するのに適しています。WEB広告でもディスプレイ広告を用いれば認知拡大は可能ですが、ユーザーが広告を「意識的に見に来ているわけではない」ため、SNS広告ほどの拡散効果は期待できません。

短期的に集客したい場合

すぐに問い合わせや購入につなげたい場合は、WEB広告が優れています。リスティング広告は検索キーワードに基づいて表示されるため、「商品を探している」ユーザーに対してダイレクトにアプローチ可能です。たとえば「格安 ホテル 予約」や「転職 エージェント」と検索している人は、すでにニーズが顕在化しているため、広告をクリックする確率が高くなります。一方SNS広告は、潜在層の興味を喚起する効果があるものの、即時の購買行動につながる割合は低いため、短期的な成果を求める場面ではWEB広告に軍配が上がります。

BtoB企業の場合

BtoBビジネスにおいては、WEB広告が主力となるケースが多いです。理由は、企業の担当者が情報収集を行う際に検索エンジンを活用する傾向が強いためです。「業務効率化ツール 導入」など具体的な課題解決を目的とした検索をするため、リスティング広告で効率的にリードを獲得できます。ただし、LinkedIn広告やX広告のようにビジネス層が多いSNSを活用すれば、特定業界のターゲットに認知を広げる手段として有効です。BtoBでは、WEB広告を軸にしながらSNS広告で補完する組み合わせが効果的です。

小規模ビジネスの場合

限られた予算で集客したい小規模ビジネスにとっては、SNS広告の柔軟性が魅力です。数千円単位でテスト出稿が可能で、ターゲットを絞り込んで地域や年齢層に限定して配信できます。たとえば美容室や飲食店であれば、近隣ユーザーへの広告配信が効果的です。WEB広告も有効ですが、競争度の高いキーワードでは費用が膨らむ可能性があり、少額予算では十分な効果を得にくい場合があります。そのため、小規模ビジネスはまずSNS広告で地域や興味関心の合致する層に訴求し、成果が出たら段階的にWEB広告を取り入れるのが現実的です。

SNS広告に向いているケース

若年層へのアプローチ

SNS広告は、特に10代~30代の若年層へのアプローチに強みを持ちます。InstagramやTikTokは日常的に利用されており、ユーザーが自然に広告に触れる機会が多いためです。若年層はテレビや新聞よりもSNSから情報を得る傾向が強く、広告をコンテンツとして楽しむ姿勢を持っています。たとえばファッション、コスメ、飲食、旅行などライフスタイルに直結する商材は、SNS上で共感を呼びやすく、広告から直接購入や来店に結びつきやすい特徴があります。

ビジュアル訴求が強い商品・サービス

画像や動画を活用した訴求に適しているのもSNS広告の魅力です。飲食店の料理写真やアパレルのコーディネート動画、コスメの使用シーンなど、視覚的に「体験」をイメージできるコンテンツはエンゲージメントを高めやすくなります。また、ストーリーズ広告やリール広告など、没入感のある表示形式を使うことで、短い時間でもインパクトを残せます。ビジュアルで差別化できる商品・サービスは、SNS広告によってブランドの世界観を効果的に伝えられます。

口コミや拡散効果を狙う場合

SNS広告は、ユーザー同士のシェアやコメントを通じて自然な拡散が期待できます。広告から直接的に購入につながらなくても、投稿が話題化することでブランド認知が急速に広がるケースも少なくありません。特に新商品やキャンペーン施策では、拡散性を前提としたSNS広告を活用することで短期間に大きな注目を集められます。口コミを重視する商材にとって、SNS広告は効果的なマーケティング手法です。

WEB広告に向いているケース

検索ニーズが明確な商品・サービス

WEB広告は、ユーザーが検索エンジンで具体的なキーワードを入力した瞬間に表示されるため、購買意欲の高い層に効果的です。たとえば「保険 見直し」「格安 ホテル 予約」など、課題やニーズが明確なキーワードでは、クリックから問い合わせや購入に直結する確率が高くなります。顕在層へのアプローチが中心となるため、短期的な成果を求める商品やサービスに適しています。

幅広い層へ情報を届けたい場合

WEB広告の中でもディスプレイ広告は、幅広いユーザーにアプローチできるのが特徴です。ニュースサイトや情報メディアに広告を表示することで、潜在的な見込み客に対しても接触可能です。たとえば新サービスの認知を広げたい場合や、幅広い年齢層を対象とした商品では、ディスプレイ広告が有効に機能します。SNS広告よりも利用者の属性が限定されにくいため、全年齢層や多様なライフスタイルを持つ層に幅広く訴求できる点がメリットです。

即効性と成果を重視する場合

WEB広告は、掲載直後から効果が表れやすい即効性を持っています。特にリスティング広告は、検索と同時に広告が表示されるため、すぐに見込み客を獲得可能です。さらにクリック率やコンバージョン率を数値で把握できるため、改善サイクルを回しやすく、成果を定量的に管理できます。短期間で確実に結果を出したい場合や、限られた期間のキャンペーンにはWEB広告が適しています。

SNS広告とWEB広告を組み合わせる戦略

顧客の購買プロセスに合わせた活用

SNS広告とWEB広告は、顧客の購買プロセスの段階に応じて役割を分担させると効果的です。認知段階ではSNS広告で関心を引き、ブランドや商品の存在を知ってもらいます。その後、検討段階に移ったユーザーには、WEB広告で具体的なニーズに応じた情報を提示することで購買へとつなげられます。例えば、新商品をInstagramで紹介し、検索エンジンで「口コミ」「価格」を調べたユーザーにリスティング広告を表示するなど、両者を連動させることで顧客を自然に購入へ導く流れを作れます。

両者を補完し合うマーケティング戦略

SNS広告は潜在層へのリーチに強く、WEB広告は顕在層の獲得に優れています。したがって両者を組み合わせることで、集客から購入までの幅広いユーザー層をカバーできます。例えば、SNS広告で「話題性」や「共感」をベースに認知を拡大し、興味を持ったユーザーが検索行動を起こした際にWEB広告で確実に捉えるといった流れです。片方だけでは逃してしまう見込み客を、組み合わせによって取りこぼしなくアプローチできる点が大きなメリットです。

運用リソースを効率化する工夫

SNS広告とWEB広告を同時に運用する場合、管理や分析にかかるリソースが増えるのが課題です。これを解決する方法として、共通のKPIを設定して一元管理する仕組みを導入したり、外部の広告運用パートナーを活用するのが効果的です。また、広告素材をSNSとWebで共用することで制作コストを抑えられます。両者を効率的に運用することで、少ないリソースでも最大限の成果を得ることが可能になります

導入前に確認すべき注意点

広告運用の知識とリソース

SNS広告もWEB広告も、ただ配信するだけでは十分な成果は得られません。適切なターゲティング、入札設定、広告文やクリエイティブの改善など専門的な知識が必要です。また、配信後も数値を見ながら継続的に調整を行う運用力が求められます。社内にリソースが不足している場合、無理に自社運用を続けると費用対効果が低下する恐れがあります。

効果測定と改善サイクルの必要性

広告は出稿して終わりではなく、クリック率やコンバージョン率を確認し、改善を繰り返すことが欠かせません。SNS広告ではエンゲージメント、WEB広告ではCVRやCPAといった指標を重視することで、目的に応じた最適化が可能です。効果測定を怠ると、投資した予算が無駄になるだけでなく、正しい意思決定ができなくなります。

外部パートナー活用の選択肢

社内での広告運用が難しい場合は、専門の広告代理店やコンサルティング会社に依頼するのも有効な選択肢です。プロに任せることで、戦略設計から運用・分析まで一貫したサポートを受けられ、短期間で成果を出しやすくなります。特に限られた期間で結果を求めたい場合や、広告予算が大きい場合には外部パートナーの活用が効果的です。

まとめ|SNS広告とWEB広告を正しく使い分ける

SNS広告とWEB広告は、いずれもオンライン集客に欠かせない手法ですが、得意分野や効果の出方には明確な違いがあります。SNS広告は、ユーザーの興味関心に基づいて潜在層へ自然にリーチし、拡散性やビジュアル訴求に強みを持ちます。一方でWEB広告は、検索ニーズが明確な顕在層にダイレクトにアプローチでき、短期間で成果を得やすいのが特徴です。

どちらが優れているかではなく、目的に応じて選び分けることが重要です。たとえば、ブランドの認知度を高めたい場合や若年層へアプローチしたい場合にはSNS広告が適しています。反対に、短期的に成果を求めたい場合やBtoBのリード獲得を狙う場合にはWEB広告が効果的です。

さらに、両者を組み合わせることで、潜在層から顕在層まで幅広くカバーでき、広告投資の効率を最大化できます。本記事を参考に、自社の課題や目的に合った広告戦略を設計することで、無駄のない効果的な集客を実現できるはずです。

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監修者プロフィール

平岡 悟

平岡 悟

株式会社センタード 代表取締役

WEBマーケティング歴25年。セプテーニとSBIホールディングスのJVでの金融広告事業をはじめ不動産・人材・旅行・化粧品等多業界広告での経験を経て2010年に株式会社センタードを設立。クライアントワークでWEBマーケティングの全体戦略設計からWEB広告、SEO、WEBサイトの改善設計まで、自社ではSFA/MAを活用したインバウンドマーケティングからインサイドセールスまでを統括。現在も実践の最前線でAIでWEBマーケティングを最適化しサービス強化。1,200社以上の実績と顧客満足度96%、顧客推奨度90%を実現。
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