公開日: 2025.11.19

「パラメーター」という言葉、聞いたことはあるけれど正確な意味はわからない。そんな方は多いのではないでしょうか。特にWeb業界では、URLの末尾に付いている謎の文字列や、広告管理、アクセス解析の場面で頻繁に登場します。しかし、意味を曖昧にしたまま使っていると、正しい分析や設定ができず、効果測定を誤るリスクもあります。
そもそもパラメーターとは、何らかの「条件」や「設定値」を指す言葉です。日常生活ではあまり聞かないものの、IT・Web・数学・プログラミングなど、幅広い分野で使用される重要な用語です。中でもWeb分野においては、URLパラメーターの正しい理解が、マーケティングやSEOの成果に直結するケースもあります。
本記事では、初心者の方でも理解できるように、パラメーターの基本的な意味から、Webでの具体的な使い方、注意点、他用語との違いまでを体系的に解説します。読み終える頃には、URLの仕組みやアクセス解析レポートの見方がぐっとクリアになるはずです。
目次
「パラメーター(parameter)」という言葉は、ギリシャ語の「para(側に)」と「metron(測る)」が語源とされ、「基準となる数値」や「条件」を意味します。英語でも同様に、特定のシステムや状況を制御するための数値や設定値を指します。日常的な会話ではあまり登場しない言葉ですが、専門分野では汎用的に使われる重要用語です。
ITやWebの分野において「パラメーター」は、動作を制御するための条件や入力値を意味します。たとえば、URLの末尾に「?id=123」といった形式でつく文字列は「URLパラメーター」と呼ばれ、ページの内容を動的に変えたり、アクセス元を記録したりする目的で使用されます。システム開発では、関数やメソッドに渡す値としてパラメーターが使われ、処理の挙動を変える要素になります。このように、単なる“設定”というだけでなく、情報の受け渡しや動作の分岐に不可欠な役割を果たしています。
現代のWebマーケティングやコンテンツ運用では、パラメーターの理解が成果に直結します。
たとえば、広告の効果測定を正確に行うためには、パラメーターを正しく設定し、ユーザーの流入経路を追跡できるようにする必要があります。また、SEOの観点からも、パラメーター付きURLの扱い方によって検索評価が分かれることもあるため、無視できない要素です。技術者でなくても、パラメーターの基本概念を知っておくことで、日々の業務効率や分析の精度が格段に向上します。
Webにおいて「パラメーター」と言えば、最もよく目にするのがURLパラメーターです。これは、WebページのURLの末尾に追加される情報で、主に「?」以降に「キー=値」の形で記述されます。たとえば以下のようなURLです。
この例では、「id=123」と「ref=ad」がパラメーターです。URLパラメーターは、主に以下の目的で使用されます。
WebサーバーやJavaScriptなどのクライアントサイドの処理が、これらの値を読み取り、ページの内容を動的に変更することで、ユーザーにとって適切な情報を表示します。
URLパラメーターは、技術的にはクエリストリング(query string)と呼ばれる構造の一部です。基本的な構文は以下の通りです。
この仕組みを利用することで、Webサイトは同じベースのURLでも、異なる条件やコンテンツを表示することが可能になります。たとえば、ECサイトでは「カテゴリ=shoes&sort=price_asc」といったパラメーターで、商品リストの並び順やカテゴリを制御できます。
開発者はこれらのパラメーターを読み取って、サーバーやフロントエンドで処理するため、構成の理解は非常に重要です。
マーケターにとってURLパラメーターは、ユーザー行動を可視化するための強力な武器です。よく使われるのがUTMパラメーターと呼ばれるGoogleアナリティクス用の追跡コードです。
例:
このように設定することで、「どの媒体から」「どのキャンペーン経由で」訪問があったのかを正確に把握できます。広告のクリック計測、A/Bテスト、リマーケティングリストの生成などにも活用されます。
ただし、パラメーターを適切に管理しないと、URLの重複や計測ミスが発生するため、整合性の取れた命名ルールと運用設計が求められます。
ECサイトでは、URLパラメーターが商品ページや広告効果測定に頻繁に活用されます。たとえば、メールマーケティングでセール情報を配信する際、リンクに以下のようなUTMパラメーターを付加するケースがあります。
この形式により、Googleアナリティクスなどの解析ツールで「どのチャネルから流入したか」「どのキャンペーンが成果につながったか」を追跡可能になります。さらに、パラメーターの値によってクーポン表示や、特定カテゴリの商品を自動的に表示するような動的対応も行われています。
URLパラメーターの扱いには注意が必要です。SEOの観点から見ると、同一ページが異なるパラメーター付きURLで複数存在する状態は「重複コンテンツ」と判断される恐れがあります。たとえば、
この2つのURLがGoogleに別ページとして認識されると、評価が分散し、検索順位に悪影響を及ぼす可能性があります。その対策として、canonicalタグで正規URLを指定したり、Google Search Consoleでパラメーターの処理方針を設定したりすることが重要です。
また、リダイレクトの設定ミスや、無限ループに繋がるような不適切なパラメーター制御も避けなければなりません。
動的なWebページでは、URLパラメーターがデータベースとの連携に活用されます。たとえば、商品IDを指定することで特定の商品情報を表示したり、検索キーワードに応じて結果を切り替えたりといった処理です。
例:
このようなURLでは、検索キーワード「sneakers」と並び順「価格の高い順」がパラメーターで指定されています。サーバー側では、これらの値をもとにデータベースを検索し、該当する商品を動的に生成して表示します。
ただし、パラメーターが無秩序に増えると、サイトの可読性やユーザー体験が損なわれるため、適切な設計と管理が不可欠です。また、JavaScriptでパラメーターを操作する際は、意図しないURL改変やセキュリティ上の懸念にも注意する必要があります。
プログラミングにおいて「パラメーター」は、関数やメソッドに渡す外部からの入力値を指します。たとえば、次のような関数を考えてみましょう。
この関数では、name がパラメーターです。呼び出す際に greet("田中") と入力すれば、「こんにちは、田中さん」と出力されます。
このように、関数の処理内容を柔軟に変化させるためにパラメーターが使われます。また、複数のパラメーターを受け取ったり、初期値(デフォルト値)を設定することも可能で、再利用性や保守性の高いコードを書く上で不可欠な概念です。
なお、関数呼び出し時に実際に渡す値は「引数(argument)」と呼ばれ、パラメーターとは厳密に区別される用語です(後述します)。
統計学やビジネス分野でも「パラメーター」は広く使われています。統計の世界では、パラメーターとは母集団の特徴を示す固定された数値であり、例えば「平均値」「標準偏差」「相関係数」などがそれに当たります。
これらのパラメーターは、サンプルデータをもとに推定され、分析の根拠となります。たとえば、「年齢と購買額に相関がある」と判断する場合、その相関係数というパラメーターの値が根拠になります。
ビジネスにおいては、KPI(重要業績評価指標)や業務プロセスにおける設定値や目標値をパラメーターと呼ぶこともあります。マーケティング施策における「広告費用対効果の最適化」などでは、パラメーターを調整することで最適な成果を導く戦略がとられます。
このように、分野によって少しずつ意味合いが異なるものの、いずれも「制御」「設定」「基準」といった性質を持つのが共通点です。
パラメーターと混同されやすい用語の一つに「引数(argument)」があります。これらは非常に近い概念ですが、厳密には異なる意味を持ちます。
パラメーター(parameter):関数の定義時に使われる「変数」のこと
引数(argument):関数を実行する際に実際に渡される「値」のこと
たとえば、次のようなコードを見てください。
この場合、x と y は関数の受け取るパラメーターであり、実際に渡されている 2 と 3 が引数です。意味が近いため、日常会話では区別されないこともありますが、仕様書や開発現場では区別が求められるケースもあります。
「変数」もまた、パラメーターと混同されやすい概念です。どちらも「値を格納するもの」ですが、役割が異なります。
変数(variable):プログラムの中で一時的に値を保持する記号的な器
パラメーター(parameter):関数やプロセスの実行条件を外部から与えるための入力項目
たとえば、以下のような処理があるとします。
ここでは discountRate は変数であり、関数に渡される rate はパラメーターです。変数はプログラム全体で使う値、パラメーターは特定の処理における入口値という違いがあります。
パラメーターは「設定値」や「初期値」とも密接な関係がありますが、これも同一ではありません。
パラメーター:処理を開始する際に与える入力値
設定値(setting):ユーザーやシステムによって変更可能な構成要素
初期値(default):何も入力がない場合に適用されるデフォルトの値
たとえば、あるアプリで「表示件数」の設定があり、デフォルトが10件で、ユーザーが変更すれば20件にできるとします。このとき、「表示件数」は設定値であり、アプリ内部ではこの値がパラメーターとして関数に渡され、表示ロジックに利用されます。何も入力がなければ、初期値として10件が使われる、という関係になります。
このように、パラメーターは他の構成要素と連動して機能する存在であるため、それぞれの意味を正しく区別することが大切です。
URLパラメーターを多用する際、特に注意したいのがSEOへの悪影響です。パラメーターを追加することでURLが動的に変化すると、同一ページが異なるURLで複製されてしまうことがあります。これは重複コンテンツとみなされ、検索順位にマイナスの影響を与える可能性があります。
例:
見た目はほぼ同じページでも、検索エンジンからは別ページと判断される可能性があるのです。こうしたリスクを避けるためには、canonicalタグを使って正規のURLを指定することが効果的です。また、URLが不必要に長くなって可読性が下がることも、ユーザー体験の面から避けたい要因です。
Webサイトを運営する上では、URLパラメーターを戦略的に活用することが重要です。ただし、その管理が煩雑になると、トラッキングの精度が下がったり、解析データが分断されたりする恐れがあります。
こうした対応により、SEO効果を損なわずにパラメーターを安全かつ有効に活用することができます。
Webに関わる業務では、「パラメーター」という言葉を避けて通ることはできません。特にURLパラメーターは、広告運用・アクセス解析・コンテンツ最適化など、多岐にわたる施策の基盤となる要素です。その正しい理解と適切な運用は、数値に基づいた判断力や、ユーザー行動の可視化を可能にし、ビジネスの成果に直結します。
一方で、パラメーターの乱用や管理ミスは、SEO上のリスクや計測精度の低下を招く恐れもあるため、注意が必要です。基本的な仕組みを理解し、設計段階から戦略的に取り入れることで、Web施策の質は大きく向上します。
本記事では、パラメーターの定義からURLでの活用例、他用語との違い、運用上の注意点までを体系的に整理しました。今後、広告リンクやアクセス解析レポートを見る際には、ぜひ本記事の内容を参考に、より深く・正確に読み解いていただければ幸いです。
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