更新日: 2025.10.16
AIモードとはGoogleが開発した生成AIを活用した検索の新機能です。従来の検索では複数のウェブサイトから情報を探したり、内容を比較したりして理解する必要がありましたが、AIモードでは検索キーワードや質問文に対して要点をAIが自動でまとめてくれるため、答えにたどり着くまでの時間が大幅に短縮されます。
この新機能は時間を効率的に使いたいユーザーや、検索キーワードでは調査しづらい内容をリサーチする方にとっては、非常に魅力的な機能です。ここではAIモードの仕組みと、AIがどのように答えを導いているのか、使える環境や注意点など、知っておきたい情報をご説明します。
目次
「AIモード」は、Google検索における生成AIを活用した新しい検索体験です。ユーザーが入力した複雑な質問の意図をAIが解きほぐし、要点をまとめた回答を、出典元のリンクや追加の質問候補と共に提示します。
この機能は、検索結果ページ上部に表示される「AIモード」タブから利用できます。PCおよびモバイルの各種ブラウザのほか、AndroidとiOSのGoogleアプリにも対応しています。AIによる要約を確認した後、従来のウェブ検索結果へ簡単に切り替えることもできるため、複数の情報を比較検討したり、調査の初動を効率化したりするのに役立ちます。
日本語への対応は2025年9月9日に開始され、同日にインドネシア語、韓国語、ヒンディー語、ブラジル向けポルトガル語にも拡大されました。さらに、2025年10月7日には35以上の言語と40以上の地域が追加され、現在では合計200を超える国と地域で利用できるようになっています。
なお、提供は順次拡大されており、利用可能になるタイミングはアカウントや地域によって異なる点は注意が必要です。
Deep Searchは、GoogleのAIモード内で提供される高度なリサーチ機能です。この機能はGemini 2.5 Proを活用し、数百ものWebサイトを横断的に探索した上で論点を分解し、根拠となるリンク付きのレポートを数分で生成します。複雑な製品やサービスの比較検討、専門的なトピックの背景調査、あるいは一次情報と専門家の解説を統合して要約するといった場面で特に有効です。
利用を開始するには、google.com/aiでAIモードを開き、「Deep Search」を選択して質問を入力します。AIから提案される補足的な質問に答えることで、さらに精度を高めることができます。
なお、2025年10月時点における利用条件は、アメリカのGoogle AI ProまたはUltraの加入者であること、Search LabsでAIモードに参加している18歳以上の個人アカウントであること、そして現時点ではデスクトップ版(PC版)検索で提供されることなどが挙げられます。
また、生成されたレポートは履歴から再確認したり、追加の質問でさらに深掘りしたりすることも可能です。
Search Liveは、GoogleのAIモード上で検索とリアルタイム対話を可能にする機能です。スマートフォンのGoogle検索アプリで「Live」アイコンをタップすると、音声で会話しながら検索できます。さらに、カメラを通して目の前のものや風景を共有することで、その場で説明や関連リンクを受け取ることが可能です。
例えば、名前が分からない配線の部品をカメラで映し、「この型番と取り付け方は?」と質問するだけで、AIが部品の名称、取り付け手順、参考リンクなどを即座に提示してくれます。
また、革靴のつま先が破れてしまった際に「応急処置の方法と、おすすめの修理キットは?」と尋ねれば、自分でできる修理の手順や、市販されている関連商品の比較情報を分かりやすく表示します。
AIからの回答は音声でも再生され、会話の履歴から続きの対話を再開できます。また、Googleレンズから起動できる場合もあります。
提供状況について、2025年9月時点で、アメリカでは英語による一般提供が開始されているほか、インドでは、2025年10月8日に英語とヒンディー語での展開が段階的に始まっています。対応言語は今後、順次拡大される予定です。
AIモードに搭載されている「エージェント機能」は、検索後の「実行」までを支援する実験的な機能です。
例えばレストラン予約では、AIが複数の予約サイトを横断して空席のある候補を提示。ユーザーは提案された中から選び、OpenTableやResyといった使い慣れたサービスで最終的な確定操作を行うことで、手続きを大幅に簡素化します。あくまでAIが予約候補を提案するまでで、最終的な確定はユーザー自身が行う仕組みです。
この機能は、当初アメリカのAI Ultra加入者向けのLabs実験として提供が開始されましたが、現在ではアメリカ国内のLabs参加者全体へと対象が拡大されています。
将来的には、ローカルサービスの予約やイベントチケットの手配にも対応する見込みです。
また、基盤技術であるGemini 2.5 Proを活用し、店舗へ電話をかけて価格や在庫を確認するといった、より高度な自動アクションの提供もアメリカ国内では先行的に進められています。
AIモードは、GeminiとShopping Graphを統合することで、ショッピング体験を大きく進化させます。
欲しい商品の条件を会話形式で伝えるだけで、AIが商品の仕様、レビュー、在庫、価格といった要点を整理して提示します。候補の比較検討から最適な購入先へ進むまで、一気通貫であなたの買い物をサポートします。
また、気になる商品には、後で価格が下がった際に通知を受け取れる価格の追跡(価格アラート)機能も設定可能です。
アパレル分野では、自身の写真を使ってサイズ感やシルエットを確認できる仮想試着機能「Try It On」にも対応しています。さらに、アメリカを中心とした一部地域では、エージェントが購入手続きを支援するチェックアウト導線も実装されており、対応国と言語は順次拡大中です。
「パーソナルコンテキスト」は、AIモードの検索結果を利用者の個別の状況に合わせて最適化する仕組みです。
この機能を利用するには、まずGoogleアカウントの「Webとアプリのアクティビティ」および「検索のパーソナライズ」を有効にする必要があります。その上で、必要に応じてGmailなどのGoogleアプリとの連携をユーザー自身が選択(オプトイン)することで、AIは過去の検索履歴やフライトの予約情報などを手掛かりに、ユーザーの好みや状況を深く理解します。これにより、「屋外席のあるレストラン」や「今いる場所の近くで開催されるイベント」といった、一人ひとりに合わせた検索結果の提案が可能になります。
このパーソナライズ機能は、現時点では、アメリカ国内に在住する18歳以上で上記設定が有効であることが前提であり、新機能はLabsで先行提供される場合があります。
AIモードは質問の意図を分解し、根拠となるリンクと共に回答を提示する設計のため、パーソナルコンテキストが反映された提案であっても利用者がその根拠を検証しやすくなっています。この機能は、AIモードが利用可能となっている国や地域で順次展開されています。
なおAIモード自体の提供地域は拡大中ですが、パーソナルコンテキストの提供範囲は段階的な展開が案内されています。
AIモードに搭載されたグラフ&チャート生成は、複雑な数値をAIに“読ませる”ことで、自動的に可視化する機能です。
特に金融分野での活用が進んでおり、株式や投資信託に関する質問をすると、指定した期間の価格比較や騰落率などを分析し、解説文が付いたインタラクティブなグラフを生成します。追加の質問で表示する指標を切り替えたり、比較したい銘柄を追加したりすることも可能で、根拠となるデータソースの参考リンクも併記されるため、情報の検証も容易です。この処理はGeminiがユーザーの質問の意図を分解し、リアルタイムおよび過去のデータから最適な可視化方法を判断することで実現しています。
現在は金融分野が中心ですが、今後はスポーツにおける本拠地のアドバンテージ比較といった、より幅広い統計データの可視化にも対応を拡大していく予定です。2025年10月時点では、アメリカでAIモードにて、Labs経由での先行展開となっています。
Yahoo!検索に搭載されている「AIアシスタント」は、生成AIを用いて質問への回答を提示し、チャット形式でさらに深掘りできる機能です。
2025年にはスマートフォンアプリに加えてPCブラウザ版での提供も本格化しました。さらに、対話しながら観光モデルコースを生成する「おでかけAI」(スマートフォン限定)や、簡単な質問に答えるだけでおすすめの商品候補を絞り込んでくれる「お買い物AI」といった、特定の目的に特化したアシスタント機能の拡張も進んでいます。
技術基盤としては、Google CloudのVertex AIを利用していることが公式サイト上で明記されており、利用にあたってはガイドラインの遵守やYahoo! JAPAN IDでのログイン、13歳未満の利用制限などが定められています。
AIによる回答には関連情報へのリンクや注意事項が併記されており、利用者が情報の真偽を検証しやすいように設計されています。また、従来のキーワード検索結果も並存しているため、ユーザーは必要に応じてAIの回答と通常の検索結果を自由に行き来することができます。
このAIアシスタント内でも引用したサイトが表示されているので、サイト運営者はLLMOに対する意識が重要になってきます。
AIモードはすべてのユーザーがすぐに使えるわけではありませんが、現在は200以上の国と地域で提供され日本語にも対応しています。
今後も対応言語と地域は順次拡大しています。一方で一部の機能は地域ごとに段階的に提供されるため利用できる体験は国や言語によって異なる場合があります。
関連記事:Googleの新機能「AI Overview」とは?SGEとの違いやSEOへの影響、使い方を解説
従来のGoogle検索では、キーワードを入力すると、関連性の高いウェブページの一覧が表示され、自分でそれらを読み比べて答えを見つけていました。
しかしAIモードでは、そのプロセス自体をAIが代行し、要点をわかりやすく要約してくれるため、検索の時間と手間が大幅に削減されます。
「調べたいことがあるけど、たくさんの記事を読むのは面倒…」と感じていた人にとっては、まさに“答えをすぐに得られる”検索革命とも言える機能です。
「AIモードって便利そうだけど、実際何が違うの?」という方のために、従来検索とAIモードの主な違いを一覧表で比較してみましょう。使ってみると、違いは想像以上に大きいことがわかります。
AIモードの最大の特徴は、“考える手間”をAIが肩代わりしてくれる点です。従来の検索では、ユーザー自身が判断して読み進める必要がありましたが、AIモードでは検索意図に応じて要点を即座に整理してくれるため、理解がスムーズになります。
ただし、AIの回答が常に完璧というわけではないので、最終判断はユーザー自身がする必要があるという点は忘れてはいけません。
比較項目 | 従来のGoogle検索 | AIモード付きの検索 |
---|---|---|
検索結果の形式 | サイト一覧表示 | AIによる要約文+リンク表示 |
情報取得の流れ | 複数サイトを比較・確認する必要あり | AIが要約して答えを提示 |
所要時間 | 情報精査に時間がかかる | 数秒で要点を把握できる |
信頼性 | 情報元がはっきりしている | 要約元が曖昧なこともある |
ユーザー操作量 | 自分で読む・探す必要がある | ほぼ見るだけでOK |
対象ユーザー層 | 情報に強い人・リテラシーが高い人向け | 初心者や時短重視の人にもおすすめ |
「AIモードって便利そうだけど、どんなときに本当に使えるの?」
そんな疑問に答えるために、具体的な4つの活用シーンを紹介します。
1つ目は、調べものが多い学生や社会人の情報収集。
たとえば「GDPとは何か?」などの基本的な内容を一発で要約してくれるので、レポートやプレゼン準備の時短に効果抜群です。
2つ目は、商品の比較検討。
「iPhone 15とPixel 8 違い」などの検索に対して、両者の特徴を並べて要約してくれるため、買い物の判断材料がすぐに得られます。
3つ目は、キーワードでの検索では検索結果に表示されづらい質問。
「寝起きがだるいが何か昨日の食べ物が原因?」など、検索キーワードでは表現しづらい質問への回答も的確に行ってくれます。
4つ目は、文章の要約やアイデア出し。
ニュース記事や論文の要点を知りたいとき、AIが概要をサッとまとめてくれるので、理解がとてもスムーズになります。
AIモードはとても便利ですが、完全に安心して任せられる機能ではないという点も理解しておくことが大切です。たとえばAIが生成した回答には、通常ウェブ上の参考リンクが提示されますが、すべての記述がどの出典に由来するか一対一では示されない場合もあり、誤った情報が含まれる可能性もゼロではありません。
また、すべての検索キーワードに対応しているわけではなく、表示されないケースもあります。さらには、プライバシーやセキュリティの観点でも気をつけるべきポイントがいくつかあります。
ここでは、AIモードを使う上で事前に知っておきたい4つの注意点を順に解説していきます。
AIが言ってるから正しいはず、と回答を鵜呑みにしてしまうのはとても危険です。
AIモードの要約はあくまでも複数の情報を自動的に整理して生成されたものであり、事実確認が十分にされていない場合もあります。
その理由はAIが情報を生成する際に使う元データが明確に表示されないことがあるから。たとえば、ある記事を参考にしていても「この記事を参考にしました」という表示が出るとは限りません。
また、タイムリーな情報(例:最新の法律改正、災害速報など)については、情報の鮮度が落ちている可能性があるため、ニュースサイトや公式発表を併用するのが賢明です。
それでも「一旦の方向性や概要を知りたい」ときにはとても有用な機能です。つまり、AIモードの回答はあくまで“情報の入口”として活用し、そのあと自分の目で裏付けを取る使い方がベストです。
「AIが検索内容を記録して悪用されたりしないの?」と心配になる方もいるかもしれません。結論から言うと、GoogleのAIモードはユーザーのプライバシー保護に配慮した設計にはなっているものの、注意すべき点は確かに存在します。
まず知っておきたいのは、AIモードでのやり取りはGoogleのサーバーに一時的に保存・処理される可能性があるということ。これは検索内容がAI学習の品質向上に役立てられる仕組みだからです。
そのため、個人情報や機密性の高い内容(パスワード・電話番号・住所など)を検索に含めるのは避けるべきです。
また、AIが生成した内容が意図せず個人情報を推測できる形になっている場合もゼロではありません。Googleはこうしたリスクに対して対策を講じていると明言していますが、「100%安全」という保証はないため、ユーザー側のリテラシーが重要になってきます。
AIモードは、検索という行為を「調べる」から「話しかける」へと進化させる大きな転換点です。これまでのようにキーワードを並べて検索する時代から、対話型で答えが返ってくる検索へと変わりつつあります。
今後、AIの精度がさらに向上すれば日常会話レベルでの調べものが可能になり、まるで“相談できる検索エンジン”のような存在に。検索体験はますますパーソナライズされ、一人ひとりに寄り添うAIとの対話が主流になる未来が見えてきています。
Googleが提供を開始した「AIモード」は、検索のあり方を根本から変える可能性を秘めた革新的な機能です。従来のように複数のページを読み比べて情報を探す必要はなく、AIが自動で要点を整理し、出典と共にユーザーへ“答え”を直接届ける検索体験が実現しました。
特に、複雑なリサーチをこなす「Deep Search」、カメラや音声でリアルタイムに対話する「Search Live」、そして予約や購入といった具体的な行動をサポートする「エージェント機能」などは、単なる情報収集に留まりません。これらはユーザーの意思決定から実行までをシームレスに支援し、ショッピング支援やデータ可視化、個人の状況に合わせた検索の最適化など、従来の検索エンジンの枠を超えた体験を広げています。
このAIモードは、すでに日本語への対応が始まっており、提供される国や地域も大幅に拡大しています。
一方で、この新しい検索体験を最大限に活用するには、いくつかの注意点があります。AIが提示する情報には誤答のリスクが伴うため、出典元を必ず確認する検証リテラシーが不可欠です。また、個人の状況に最適化される利便性の裏側にはプライバシーへの配慮も必要であり、Googleアクティビティ設定などを適切に管理することが前提となります。AIはあくまで“情報の入口”であり、最終的な判断はユーザー自身に委ねられているのです。
この変化は、企業やサイト運営者にも新たな対応を求めています。AIに信頼され、引用されやすい情報構造を意識したコンテンツ作りや、新たなユーザー行動を捉えるための計測設計が、今後のウェブ戦略において重要になるでしょう。
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