- 業種
- 製薬会社
コンテンツ資産を守りながらのリブランディング──医薬品ブランドサイトの戦略的リニューアル
提供サービス
- SEOコンサルティング
- ホームページ制作
- 課 題
- 商品ブランドを刷新したい
- 主力製品の認知度が低く、新規顧客獲得が困難
- 下層ページに流入が多いコンテンツがあるので流入を減らさずにリニューアルしたい
- 下層ページにある人気コンテンツからの製品紹介ページへの誘導が不十分
- 改善結果
- 大幅な自然検索流入減少を招くことなくリニューアルの実施
- 上位表示(1-3位)キーワード数も増加 などの改善傾向
ある医薬品メーカーでは、長年にわたり自社ブランドの製品情報を発信してきたWebサイトの刷新を検討していました。
製品の認知向上とユーザー体験の改善を図るためには、デザインや導線の見直しが必要不可欠でしたが、一方で既存サイトには検索流入を支える高パフォーマンスなコンテンツが多数存在しており、それらを損なわずにリニューアルを成功させることが最大の課題でした。
下層ページへの自然検索流入をどう守るか──リニューアルの最大の壁
対象となったWebサイトでは、特定の下層ページに年間を通じて膨大な自然検索流入がありました。
たとえば、製品に関連する症状や使い方を詳述したページは、検索ユーザーのニーズとマッチしており、アクセスの大半を占める重要な資産となっていたのです。
しかし、リニューアルに伴う構造の変更やページURLの変更は、検索エンジンからの評価に悪影響を及ぼすリスクをはらんでいました。
ユーザーが目的の情報にたどり着けなくなったり、検索順位が下落すれば、流入数の大幅減少が起こりかねません。
そのため、サイト全体の刷新を図ると同時に、既存コンテンツの価値を維持するという二重のミッションが課されました。
検索流入を保ちながら導線を設計──「変えずに変える」戦略的手法
まず着手したのは、流入を生み出しているキーワード群の徹底的な分析です。
SEO的に評価されている要因を洗い出し、それらのコンテンツ構造やテキスト表現を必要最小限の調整で引き継ぐ方針を採用しました。
これにより、検索エンジンの評価を維持しつつ、ユーザーにとっての読みやすさや使いやすさを改善することを実現しました。
また、高流入コンテンツに自然な文脈でサービス紹介ページや製品ページへのリンクを組み込み、サイト内回遊を促進する導線設計も同時に実施。
これにより、これまで情報取得のみに終わっていたユーザーの動線を、サービス理解や購買行動へと繋げることが可能になりました。
ブランド刷新とターゲット最適化──40〜50代女性ユーザーへの配慮
リニューアルでは見た目の刷新も重視されましたが、それは単なるデザイン変更にとどまりません。
ブランドの世界観を保ちながら、ターゲットとなる40〜50代女性にとって読みやすく、親しみやすいUI/UXを目指しました。
とくに、製品の特徴や利用シーンが視覚的・感覚的に理解できるよう、情報の構成や表現を微調整。
コンテンツそのもののボリュームやテーマは大きく変えず、ユーザーにストレスを与えることなく、むしろ使いやすさと情報伝達力の両立を図る設計となりました。
SEO維持とオーガニック流入の最適化──結果が示す設計の精度
リニューアル後も、SEO指標は安定して推移しました。
主要キーワードにおける検索順位は維持され、結果としてオーガニックトラフィックに大きな減少は見られませんでした。それどころか、一時的な流入増加や上位表示キーワードの数が増えるといったポジティブな変化も観測されました。
これは、既存のコンテンツが持つ検索評価を維持しながら、全体としてのブランド価値と導線設計を高めるという両立が成功した証左です。
大規模流入ページから製品紹介ページへのスムーズな誘導も功を奏し、従来は情報取得のみだったユーザー層の行動変容が期待される成果として表れ始めました。
継続的な運用が鍵──ブランド価値を高めるサイトとして
この事例は、コンテンツ資産の維持とサイト全体の再設計という一見相反する課題に対して、綿密な分析と戦略設計によって両立を実現した成功例です。今後はコンバージョンデータの分析やA/Bテストなどを通じて、さらなるUI改善とコンテンツ戦略の最適化が進められる予定です。
ブランドサイトは、単なる情報の集合体ではなく、企業の信頼性や価値を伝える重要な接点です。今回のリニューアルを経て、医薬品メーカーはWebサイトを「維持すべき資産」から「活用すべき資産」へと進化させる第一歩を踏み出しました。