- 業種
- 人材
広告成果を事業成果へつなげるためのシグナル再設計と段階的なデータ連携プランの策定
提供サービス
- WEB広告運用代行
- 課 題
- 一次CVは獲得できているが面談予約など下流工程の歩留まりが不安定である
- 入札最適化が浅い成果シグナルに寄りやすく学習が事業成果と乖離しやすい状態である
- 社内フローの制約により複雑な計測連携を短期で実装しにくい状態である
- 改善結果
- 主要CVを面談予約完了へ段階的に寄せる設計方針である
- 広告指標と下流歩留まりを同一の意思決定軸で見える化する運用設計である
ご相談の背景
当該企業様では運用型広告を中心に集客を推進されていました。しかし一次CVの獲得自体は一定水準で発生している一方で、その後の面談予約や実施といった事業成果に近い工程への接続にばらつきが出やすい状態でした。
運用型広告がAI最適化前提へ移行した現在では「何を成果として学習させるか」が成果を左右します。一次CVが増えても、下流工程に進まないユーザーが多ければ、広告配信は最適化されているように見えても事業成果は伸びません。
そこで本提案ではシグナル設計を中核に据え、実装難易度に配慮しながら成果シグナルの精度を高める方針を整理しました。
現状分析で整理した論点
現状分析では広告管理画面の数値だけで判断せず、サイト内の導線とCV後の業務フローを含めて「どこで成果が目減りしているか」を切り分けました。センタードではこの切り分けを、媒体横断でのデータ統合と行動理解を前提に進めます。
主な論点は次の3点です。
1つ目は成果シグナルの深さです。一次CVが「入力完了」等に留まる場合、AIは最終成果と相関の薄いユーザーも学習対象に含めやすくなります。
2つ目は学習の一貫性です。目的やCV定義が施策ごとに揺れると、学習は安定せず成果の再現性が低下します。
3つ目は実装制約です。理想は面談実施までをオフラインCVとして返す形ですが、社内フローやシステムの制約で短期に難しい場合があります。そこで段階的に到達する設計が必要でした。
改善案1 主要CVを「面談予約完了」へ寄せるシグナル再設計
本提案の中心は入札最適化の対象を一次CVからより深い工程へ寄せることです。具体的には、短期的には「面談予約完了」を主要CVとして定義し、AIが学習する成果シグナルを事業成果側へ近づける設計を提示しました。
この設計の狙いは一次CVの母数を維持しながらも「下流へ進みやすいユーザー」の比率を高め、学習が意図せず広がるリスクを抑えることです。
面談実施を最終ゴールに置きつつ、現実的な運用単位でシグナルを一段深くすることで、成果改善の再現性を上げる考え方です。
改善案2 実装難易度を踏まえたオフラインCV連携ロードマップ
次に中長期の改善として、面談実施などのビジネス成果データを広告配信へ反映させる構想を整理しました。ただしクリックIDの取得やCRM連携は、現時点の社内フローや運用体制を踏まえると実装ハードルが高い可能性があるため、まずは現実的に運用できる範囲から段階的に進めるロードマップとして提示しています。
設計の骨子は以下です。
まずは月次単位で「面談実施完了ユーザー一覧」を共有いただき、広告側のCVデータと突合することで、一次CVだけでは見えない面談到達の歩留まりや、配信面ごとの面談実施単価を可視化します。これにより、成果評価の軸を面談寄りに補正し、予算配分や除外設計、訴求軸の見直しに活用します。
第二段階として、面談実施完了ユーザーのデータを顧客リストとして活用し、媒体側へ取り込める形式に整備します。具体的には、既存配信における除外対象として無駄配信を抑制するほか、高品質な面談完了者をシードとして類似配信を実施し、新規獲得の効率改善を狙います。
このように理想形を考慮しつつ「現時点で実行可能な最短距離」と「将来の拡張余地」を両立させることで顧客社内負荷を抑えつつ、面談基準で成果を伸ばす運用の土台を先に作る方針としました。
改善案3 主要KPIと下流KPIを同一評価軸で可視化し評価
シグナル設計は、定義して終わりではなく運用で活用していく必要があります。そこで広告指標だけではなく、一次CVから面談予約など下流工程までの歩留まりを同一の評価軸で見える化するダッシュボード設計方針も提示しました。
これにより次のような判断が可能になります。
広告側でCVが増えているのに下流が伸びない場合は、シグナルが浅いか、LPや入力体験でミスマッチが起きている可能性が高いです。
逆に下流が改善している場合は、学習が事業成果に近づいているサインとして運用判断に反映できます。
センタードの支援ポイント
本提案では小手先の入札調整ではなく「成果がズレる構造」を分解し、実装制約を踏まえた実行可能な改善設計へ落とし込むことを重視しました。その際にセンタードの強みを次の形で活用します。
統合データ分析力
広告データだけでなくサイト行動やCRMに接続し得るデータ構造まで含めて、ボトルネックを切り分けて優先順位を設計します。
AI最適化力
媒体の学習ロジックを前提に成果シグナルの深さと一貫性を担保し、学習がブレにくい運用設計を組み立てます。
クリエイティブ改善力
広告訴求とLPメッセージの整合性を取り、シグナル設計で狙うユーザー像とクリエイティブの訴求が乖離しない状態を作ります。
まとめ
一次CVが取れているにもかかわらず事業成果が伸びない局面では、配信面の調整だけでは限界が来やすいです。AIに学習させる成果シグナルが浅いままだと、最適化が進むほど成果のズレが拡大することがあります。
本提案では主要CVを面談予約完了へ寄せるシグナル設計を起点に、段階的なオフラインCVロードマップを整理しました。これにより短期は実装可能性を優先しつつ、中長期では事業成果に直結する広告運用へ移行できる道筋を明確化しました。
同様の課題をお持ちの場合は、現状整理からシグナル設計、実装難易度を踏まえた改善優先度の設計までご相談いただけます。